【中田裕二】どれだけ生々しく
俺のメロディーや歌詞が出てくるのか
ソロアーティストとして活動をスタートさせた中田裕二の1stアルバムが完成! 同作を通して、バンド時代とは違う楽曲作りについて語ってもらった。
取材:石田博嗣
ソロなので、サウンドアプローチが自由になりましたね。
再現性みたいなものはバンドの時ほどは考えずに、曲が欲している音を素直にどんどん入れていった感じですね。逆にロックバンドとしてのイメージがしづらい…それぐらい意識が変わっちゃってます。そこにすがっていたら、なかなか次に進めないっていうのもあるし。
そういうモードには、すぐに切り替わりました?
椿屋四重奏を解散した時から、そのへんのことは考えてましたね。参考にいろんなソロアーティストのCDばかりを聴いていたし、“あぁ、こういう楽器を使うんだ”とかの研究は早くからやっていたんで、わりとスムーズに切り替えはできました。
そんな意識の表れだと思うのですが、例えば「sunday monday」は椿屋の頃に見せていたジャジーさではなく、もっとジャズに振り切ってますよね。
“テイストはいらねぇな。そのままやっちゃおう!”みたいな感じでしたね(笑)。そのほうがくっきりと色が出るし、今までマスキングされていた部分がはっきりと見えてくるかなって。
「ベール」のムーディーな風合いも、もともと中田くんが持っていたものが、さらに色濃く出ていますしね。
椿屋の面白さはこういう曲に歪んだギターなり、激しいドラムなりが入ってくることだったっと思うんですけど、それが取り払われた時にどれだけ生々しく俺のメロディーや歌詞が出てくるのかなっていう興味がずっとあったんですよ。
歌詞はよりパーソナルなものに? “生まれ変わる”というフレーズが多く見られたのですが。
第二の人生の第一歩なんで(笑)。ここ十年というのは椿屋をやることが自分の生活であり、人生だったんですけど、それが終わったんで、またイチからっていう意識が強く出てますね。あと、震災の影響もあって、無駄に生きないっていうか、死生観みたいなものも出ているし。いろいろ考えましたからね。タイミング的にそういうことが重なったのも大きいと思います。
それだけ中田裕二が感じられるっていうことですよ。
ソロになったわけだから、そこを出していかなきゃなって思いましたしね。正直言って、バンドを盾にして隠してた部分があった…その中途半端な感じも嫌だったんですよ。その盾がなくなるっていうことで、気持ち的に覚悟みたいなものができるし、逆に堂々と伝えられることもたくさんあるのかなって。
では、ソロアーティストとしてやりたいことは?
使ったことのない楽器を使ってみたり、やったことのないアプローチをやっていきたいですね。今はそういう音楽作りを楽しみたいなって。あとは、ソロなんで歌と歌詞の精度を高めていく…弾き語りで成り立つぐらい研ぎ澄まされた曲を作っていきたい。俺の世界観がはっきりと出る、ムードの強い曲っていうか。最終的に演歌歌手になると思うんで…って、嘘ですけど(笑)
(笑)。12月4日からソロツアーがスタートするのですが、これは企画色の強いソロプロジェクトの『SONG COMPOSITE』とは違って、ソロアーティストとしてのツアーですか?
そうですね、初めての中田裕二としてのツアーになります。まだ曲も少ないし、ソロではバンド編成でやったことがないんで、“こんなふうにしたい”って言うのもおこがましいですね(笑)。だからって不安とかは全然なくて、どんな面白いライヴができるのかっていうところで自分でもワクワクしています。初めてバンドコンテストに出る時みたいなね。新人なんで(笑)
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