【初音】3年間の歩みと新たなる
一歩を踏み出せた一作
1stアルバム『ありがとう』から約3年。より“伝わるメッセージを”という想いを込め、言葉を大切に作られた渾身の一作。
取材:大庭利恵
カップリングを含めたシングル7曲に未発表の6曲というボリュームのある作品になりましたが、このアルバムを作る際に意識したことは何でした?
1stアルバムは、小学校5年生から高校2年生までに作った楽曲の中から選んだ、改名前の“奥村初音”としての集大成的なアルバムだったんですね。で、このアルバムはその後の3年間。そして、楽曲を作り始めてちょうど10周年にあたる節目として作ったものなので、これまで“紡いできた音”とこれから“紡いでいきたい音”の両方をイメージして作りました。
新たに入れた曲は、本作のために書き下ろしたのですか?
いえ。ライヴでだけ演奏してる曲を含めたら、膨大な未発表曲があるので、書き下ろしたのは『R347』と『ひだまり』の2曲ですね。
「R347」からの2曲は、バンドサウンドを取り入れて、音の面でも新たな挑戦をしてますよね。
そうですね。この2曲は、これまで言葉ありきで作っていたものを鼻歌から作ってみたり、リズムを鳴らしながら心地良いメロディーを探すような作り方をしたので、すごく楽しんで作れましたね。でも、楽曲選びで一番考えたのは、この3年間で感じた幅広い感情を伝えたいということだったんです。
というのは?
歌い方や表現という技術的な部分が変化したのはもちろんだと思うんですけど、一番大きいのは、精神的な成長だと思うんです。13曲目の『卒業~また会おうね~』は、私が高校2年の時に『cawaii』という雑誌の企画で、読者の方に送っていただいた卒業に関するエピソードをまとめて曲にしたものなんですね。
これが、なんと15分を超える超大作で。
はい(笑)。最初は、こんなに長くするつもりじゃなかったんですけど、みんなの気持ちを全て入れたいと思ううちにだんだん長くなってしまいました。その後、高校を卒業して東京でひとり暮らしをするようになり、いろんなことを自分ひとりでやらなきゃいけなくなったこと。楽曲や私自身に対しても、いろんな方からいろんな意見があって心の葛藤と闘っていたりしました。スキマスイッチの常田真太郎さんに提供していただいた『つよがりソレイユ』という、これまでよりも大人っぽい曲を歌ったりすることで、いろいろと感じ方とかも変化して自分のメロディーにも幅が広がったと思います。以前よりもストレートな感情を言葉にすることもできるようになってきたので、そういう全ての想いをこのアルバムに詰め込めたらいいなと想いましたね。
そういうアルバムが出来上がったことは、これからの初音さんにとって、どういう意味があると思いますか?
3年間の軌跡をまとめられたと同時に未来への第一歩を踏み出せた気がしてます。小学校の時にテレビで小田和正さんの曲を聴いた時に、私もこんなふうに言葉を伝えられる歌い手になりたいと思ったんですね。そのために今はいろんなことを経験して、たくさんの楽曲を作って、ライヴをやろうと思ってるんです。なので、このアルバムがきっかけとなってライヴに足を運んでくれる人が増えてくれたらうれしいなと思ってます。
「卒業~また会おうね~」のフルバージョンは、いつかライヴでも披露されますかね?
私自身は歌ってみたいですけど、なにせ3曲分の長さがありますからね。ライヴに来てくれるみなさんがイヤだと言わなければ、いつか(笑)
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