【たむらぱん】誰もが経験する“新し
い環境”がテーマ

“継続していくための通過点”とデビュー5周年を表現した、彼女。しかし、そこで刻まれた最初の一歩は、とても深く、そして大きい意味がある。粒揃いの一枚、必聴!
取材:竹内美保

非常にシンボリックなタイトルを掲げた楽曲ですね。“5周年”という括りもある意味超えるような。

そうですよね、フフフ。このタイミングで、こういうタイトルで曲を出す偶然性は面白いな、と思います。でも、自分にとっては“new world”は精神の世界なんですけど、それぞれの人が思っている“new world”が絶対にあるはずで。だから、誰でも経験している共通項を考えて、“新しい環境”というシンプルなところをテーマにして歌詞は書いています。歌詞のニュアンスというか、英語で歌っていたり、表記や表現が変わったのは自分でも“新しいな”と思ってますけれど。

でも、シンプルなのはほんと基本的なテーマだけですよね。聴感上の面白さとかを意識して聴いていくと、やっぱりたむらさんらしくいろいろなことが起きている(笑)。

世界が一番素晴らしそうでいて、でも困難というか、ちょっと足踏みしちゃうところもある…そういう部分はちゃんと表現したかったので。そこは音の部分であったり、《ああああああああ。。。。。》という言葉だけで表現してみたり。

その《ああ~》の部分って、トーンが変わりますよね。

そうですね。しかも、最後のサビでは、ちょっと転調もしていますし。一見、曲の勢いに乗っているようで…

落ちていきますよね。

そうなんです、主人公本人自体は(苦笑)。だから、映像のイメージで言うと、正面から見たら主人公がどんどん迫ってきているような感じなんですけど、アングルを変えて見たらいつもどこかに引っ張られている。紐が付いていて。ですから、実は踏ん張っていて、みたいな。そういう部分は発信したかったので…歌詞の中では、全然苦もなくという感じなんですけど。

サウンドでは、弦の使い方がフックとなっていて。

この曲は結構ストリングスで引っ張っていて、跳ねるタイミングとかも含めて大事にしたんです。スタッカートの長さの微妙さ、少し下に引っ張られている…“楽しいだけじゃない”というのはそういう音でも表現してあります。

大サビの3連になるところとかも…

あそこは自問自答のシーンなんですよ。前に進んでいるようで進んでいない自分にふと気付く、という感じです。

決して世界は素晴らしいだけではない、ということがよく分かる曲でした。最終的には(笑)。

そう。“つまり、そう”っていう(笑)

そして、2曲目の「ヘニョリータ」がまた独創的で。

不器用だけど頑張っているイメージから、この言葉は生まれました。で、雰囲気としてはルンルンな感じなんですけど、実はこの曲は女の子の怖さや激しさを表現してるんです。だから、最後のフレーズをカタカナにして、この女の子の強い意志を込めています。

3曲目の「とうまわりゃんせ」は“いらっとする”ことを肯定してくださってるところがグッときました。

嬉しいです! ダメな時って腹も立つし、理不尽に対してキレることもあるし。でも、それも生きている証、ひとつの大事な部分…それを感じられたらいいなと思ったので。

最後はポジティブに描かれていますし。

《歩いて行く》と歌っていますからね。この曲が終わって1曲目に戻った時、どれだけ外を向けるのか。そういうサイクルも見えますよね。
たむらぱん プロフィール

岐阜県高山市出身のシンガ・ーソングライター田村歩美のソロ・プロジェクト。作詞・作曲やアレンジはもちろん、ジャケットやウェブ・ページのアート・ワークまで手掛ける真のマルチ・アーティストである。

07年1月から世界最大のSNS<MySpace>において自ら楽曲プロモーションを開始。4ヶ月で1万人のファンを獲得、18万PV、24万回のストリーミングを達成する。それがきっかけとなり<コロンビアミュージックエンタテインメント>からのメジャー・デビューが決まり、日本初の「MySpace発メジャーデビューアーティスト」として、08年4月にデビュー・アルバム『ブタベスト』をリリース。

また音楽以外のフィールドでもその才能は高く評価されており、08年11月に発売された2ndシングル「ゼロ」のビデオ・クリップでは、イラストレーター田村歩美としてSTUDIO4゜Cとコラボレーション/映像製作に参加する。本作は、08年10月に公開されたSTUDIO4゜C製作のアニメ映画『Genius Party Beyond』のエンディング・テーマにも起用され、まさに“ミュージック”と“アート”という2つのジャンルの垣根を超えて活躍している。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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