【ジャンク フジヤマ】一番重点を置
いてるのは“魂”

東芝スカイツリーエレベーターのCM曲としてOA中の「あの空の向こうがわへ」で話題を集める大型新人、ジャンク フジヤマが満を持してメジャーデビュー。都会的でメロウな楽曲と熱い魂が一体となったサウンドは必聴!
取材:舟見佳子

音楽的にはどういうものを聴いてこられたのですか?

まぁ、ブラックミュージックから、ファンク…ジェイムス・テイラーみたいなカントリー系やロックも聴きますし、いろんなジャンルに渡って。でも、ジャンルを越えて自分の中で一番重点を置いてるのは何かと言うと、“魂”。僕は日本人なんで、ジェイムス・テイラーの魂をちゃんと受け止められてるかどうかは分からないですけど(笑)。でも、やっぱり感動するものは感動しますし。英語がよく分からなくても、伝わるものがあるんですよ。

大学時代からバンド活動を始めて、解散後はソロで活動。2009年にアルバム『A color』で一躍注目を集めたわけですが。

CDを買ってくれたお客さんがタワーレコードさんに持ち込んだらしいんですよね。そしたら、新宿店や渋谷店の人が“これは面白い!”って展開してくれて。インストアライヴをやったり。

で、満を持して「あの空の向こうがわへ」でメジャーデビューと。

はい。これは一緒にやってるベースの方が書いた曲なので、曲については昨日彼に電話して訊きました(笑)。彼は80年代の…まさに真っ只中を生きてきた人間なんで、車で海へ行けばそれで全て楽しい!みたいな時代があったと。でも、それを今やるとバブリーだとか批判されるんだけど、そんなことじゃなくて、俺は素直に聴いてるみなさんの思いに寄り添って、景色が見えてくるような曲を書きたいんだと。昨今は、景色が浮かぶとか、情景が美しいとか、そういう楽曲が少ないように思えるから、そこを作りたい…とおっしゃってました(笑)

なるほど。では、レコーディングはどんな感じで?

オケ録りは大変でしたね。“一日でいくぞー!”って言ってみんなでスタジオ入って一気に(笑)。今どきそんなのないですから。

せーので録るレコーディングって、こういうジャンルの曲では滅多に聞かないですよ。パンクやロックのバンドならあるでしょうけど。

いやいや、僕らの音楽も本当はそうあるべきなんです。ちゃんとお互いの顔を見ながら、どういう思いで弾いてるかなって考えながら。そこで僕も仮の歌を歌うわけですけど、こういうふうに歌うんだったらそこでこういうフレーズを入れたほうがいいなとか。で、そこでまたこっちの世界も広がるし。ソロ楽器をいろいろ足したりとかね。それでまた僕の気持ちも全然変わるんで。

互いの気持ちのやり取りを大事にした作り方ですね。まさに“魂”ですね(笑)。

そうです! そこに尽きるんです、全ては。それがないと、音が死んじゃうんじゃないかなと思うし。例えば、10年後に聴いても、“あっ、これいいよね!”ってなってほしい。魂が永遠に続くようにありたい。だから、僕はよく80年代や70年代の音楽をやってるっていうふうに言われるんですけど、そうじゃないんですよね。その当時にリアルタイムで聴いていた方には懐かしいってなるわけですけど、僕にとっては“懐かしい”とかじゃなくて、単純にいいものだから好き。いいものは続けていけばいいんじゃないのっていう、ただそれだけ。それに何か無駄なものを足さないし、引きもしないし…っていうことをやっていきたいなっていうことなんです。

2曲目「未来図」は、詞も曲もジャンクさんが作ってますね。

これはもともと、これからライヴが始まりますよっていう時に、何かインストゥルメンタルを流したいなと思って、それ用に作ったんです。そしたら、思いのほかメロディーがいいから歌にしましょうってことになってですね…内容としては“未来図”って言ってるくらいなので、明るい内容にはなってると思います。

3曲目「曖昧な二人」ですが、大人な感じの曲ですね。

これは完全に作り話ですよ。こんな恋をするはずがないですよね、このアタシが(笑)。この曲はある日…その時はまだ煙草を吸ってたんですけど、煙草を吸いながらコンビニの外にいたんですね。そしたら、“あ、何か降りてきたぞ、俺の中に!?”って浮かんだ曲なんです。“ひとりで煙草を吸って、何やってるんだろう俺、こんな夜遅い時間に。寂しいなぁ~”と思ったら降りてきた(笑)

でも、映画のワンシーンみたいで素敵ですよ。

情熱ほとばしるところなんですよ。これ、自分で歌ってても、世界に入りすぎちゃって、泣きそうになる(笑)

この曲はライヴバージョンでの収録なんですね。

僕のやりたいことっていうのは、ライヴで観てもらえたら一番理解してもらえると思うんですね。ライヴもこのくらいのテンションでやってるんだぜっていうのを聴いてもらいたいので、既発のアルバムの中にも必ず入ってるし。そういうポリシーじゃないですけど、熱いものは生で聴け!というのがあるんですよ。

ライヴには相当こだわりがあるみたいですね。

僕の場合は、音源のある程度のべースは守りつつも、そこから抜け出したパワフルなものを伝えたいんですね。マイクを外して歌っちゃうとかね。バンドの音は鳴ってるのにマイクなしで声が聴こえてくるよ!みたいな騒ぎになってるわけですけど、そういうのは現場に行かないと分からないので、やっぱり現場に来てほしいです。客席の中に飛び込んだりとかしてますから(笑)

シングル発売直後にはライヴもありますね。

一曲入魂じゃないですけど、そういうスタイルは崩さないでやっていきたいなと。まぁ、YouTubeとかに上がってるライヴの映像通りですよ。ああいう暑苦しい感じです(笑)。我が生涯に一点の悔いなし!っていう(笑)。そういう、いつ死んでもいいようにっていうようなライヴをやるようにしてますけどね(笑)

それってひょっとして、音楽だけじゃなくて、ジャンクさんの人生のポリシー的なところにも通じているのでは?

そうです。そのものを音に出してるんで(笑)。シティポップスとか言って音楽をやってますけど、中身はロックですから(笑)
あの空の向こうがわへ
    • あの空の向こうがわへ
    • VICL-36706
    • 1200円
ジャンク フジヤマ プロフィール

ジャンク フジヤマ:シンガーソングライター。2009年に発表したミニアルバム『A color』を聴いたスーパー・ドラマー:村上“ポンタ”秀一氏がその歌声に惚れ込みライヴ、レコーディングで共演を重ねていく。10年4月にポンタ氏が招集した凄腕メンバーとのライヴアルバム『JUNKTIME』をリリース。同年10月にFM局で頻繁にOn Airされた「Morning Kiss」を収録したスペシャルアルバム『JUNKSPICE』を、11年4月にはスタジオフル・アルバム『JUNKWAVE』をリリース。そして、12年6月にシングル「あの空の向こうがわへ」でメジャーデビューを果たすと、同曲が全国のラジオ40局にてヘビーローテーション等を獲得し、東芝TVCMソングにタイアップ起用される。13年3月にメジャー1stアルバム『JUNK SCAPE』を、14年1月にベストアルバム『風街ドライヴ〜THE BEST OF JUNK FUJIYAMA〜』、16年6月にはライヴアルバム『JUNKFLASH』をリリース。また、18年12月に初のジャズカバーアルバム『ロマンティック・ソングス~マイ・フーリッシュ・ハート』を発表し、21年1月に山下達郎のカバー「SPARKLE」を配信リリースすると、その後も「RIDE ON TIME」「DOWN TOWN」「LOVELAND, ISLAND」を配信リリースするなど、その歌声は現在まで合計16ものタイアップ・ソングに起用され愛されている。ジャンク フジヤマ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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