【Lily.μ】名前の“μ”には“アミ
ューズ”の意味もある
実像が現れて、むしろ謎めいたという稀有な存在のLily.μ。いわゆる“セツナ系”と思っていると楽しい裏切りが待っているヴォーカリスト。この人、タダモノじゃありません!
取材:竹内美保
ベールに包まれていたデビュー作を踏まえ、今作に対してはどのような心持ち、姿勢で臨まれたのでしょうか?
前作ではビジュアルもプロフィールもまったく出さず、声だけを知っていただくことをメインに制作していたので、今回はより人間らしさ、私のパーソナリティーを出していけたらいいな、という思いがありました。ですから、感情の面でも綺麗なだけではなく、いろいろな表現をして、より魂のこもった作品になったんじゃないかと思います。あまり表に出したくないような気持ちを声に出して伝える、そこは心がけました。
いいですね、露な感情を声に乗せるというのは。
7曲分の声色を感じてもらえるといいな、というのもありますし。特に私が歌詞を書かせていただいた『Love Me ~ココロの声~』と『LOVE GAME』は、かなり時間をかけました。
「Love Me ~ココロの声~」は近いけど遠い距離感がもどかしいですね。
あっ! そう言っていただけるのは嬉しいです。これ、結構実体験なんですよ(笑)。一字一句って言えるぐらい…だから、すごく思い入れは強い曲ですね。
「LOVE GAME」と聴き比べると面白いですよね。別人格が表現しているのかと思うくらい、極端に違いが出ていて。
そうですね。この2曲は愛のかたちを描いているので。『LOVE GAME』は男の人をコロコロポイ(笑)。転がすだけじゃなく、捨てちゃうくらいの歌ですから。ただDメロは少し情緒的なので、その部分ではただの悪い女ではないということも表現して。その行動も愛情を試しているだけで、本当に愛してくれる人を探しているということが伝わったらいいなと思います。
一本筋が通ってますよね、「LOVE GAME」の主人公は。
そう! 筋を通したいというのはありました。男の人から見て“こいつ最悪だな”ではなく、ちょっと理解してもらえて、女の子から見ても強いイメージを持ってもらえるような。実は自立していて、それゆえに人に言えない寂しさがある女性像なので。
“Lily.μさんはポップミュージックを背景に持っているのでは?”という印象が、今作でさらに強くなったのですが。
私、もともとロックやポップスがルーツなんです。で、後半に収録した3曲は本当にポップスの楽曲ですね。この3曲に関しては、聴いてくださる方の生活の中で、その人自身の気持ちで聴けるような楽曲になってくれればいいなと思っています。
「新しい季節」はちょっとクラシカルな60年代のポップミュージック風な質感で、個人的にも好きなサウンドです。
私も好きなんですよ。その曲を書いてくださった作家さんは、生楽器が何でもできる方なんです。で、私のルーツを知ってくださっているので、そこも汲んで作ってくださった楽曲ですね。
一曲一曲が、そして一枚通してもワクワクする作品でした。
あー! すごく嬉しいです。私の名前の“μ”って“ミューズ”という意味だけではなく、“アミューズ”の意味も重ねているんですよ。ですから、ハラハラドキドキ感のあるアミューズを提供できるアルバムになっていたらうれしいです。そして、このアルバムでLily.μとしてだけではなく、私自身の人生や生活もガラッと変わるものにしたいという思いもあって。なので、来年くらいから次々と起こる面白いことの起爆剤に、この作品がなればいいなと強く思ってます。先のこともすでに考えているので、どんどん新しい挑戦をして、何事も恐れずにみなさんに驚いていただける活動をしていきたいです。
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