L→R 小林治郎(Compose&Gu&Ba)、Erika(Vo)

L→R 小林治郎(Compose&Gu&Ba)、Erika(Vo)

【ナミノート】ボッサ・テイスト・カ
バー+良質オリジナル収録のデビュー
アルバム!

波間をたゆたうような、揺らぎ感、そこにしっかりと芯のある、声の力…決まりだな<夏の音>
取材:加藤 普

ユニット名の“naminote”は、波の音?…インタビューされるのは、まったく初めての経験というヴォーカルのErikaにそう質問すると、間髪入れずに“なんのひねりもなく、その通りです”と笑顔でErikaは、こう答えた。“あ、この答え方は紛れもなく対話の上手な人のものだ”などと思いながら、インタビュー開始。プロデューサーでもありプレイヤーでもあり、中川翔子の「フルーツポンチ」など、コンポーザーとしてもすでに実績を積んでいる小林治郎と、新星堂が開催したオーディション『Chance!』の2010年度ファイナリストErikaのユニットnaminoteは、今年の日本の夏に間違いなく心地良い“海の香り”と“潮風”を送る。
「人前で歌うこともなく、お風呂場で歌ってました」(Erika)
ファイナリストとして『Chance!』に出場してからもErikaの歌い手としての生活はそれまでと、大差なかったという。だが、決定的に違ったのが、思いと行動。
「人前で歌うにはどうすればいいんだろう? そう考えてネットの掲示板で一緒に演ってくれる人を探して。そこで小林さんと出会ったんです」(Erika)
本当はジャズヴォーカルを志向していたErikaだった。小林は掲示板ではジャズミュージシャン風だった。だが、実際に会ってみるとボサノバをフィールドにしているアーティスト。
「正直、ジャズじゃないのかよ!と思いました」(Erika)
しかし、信頼できた。小林のサウンドメイクは、確かにメインのサウンドテイストはボサノバだが、むしろトロピカルサウンドと呼んだほうが似つかわしい。これがErikaの声質にマッチした。
「ボサノバっぽいと理解してもらえれば…。むしろサンバのほうが近いかもしれないし、ハワイアン的なものもある。広い意味のトロピカル。“エキゾチック”と言ってもピンとこないし、“ボサノバ”と言っておけば理解してもらえるかなと(笑)。このアルバムに関してひとつだけ言えば、波のイマジネーションが全編にある。70年代のティンパンアレイ系と捉えてもらってもいいかもしれない」(小林)
だから、この選曲!! オリジナルアーティストへの限りないリスペクトがある。60~70年代を青春していた親父も、胸をぐっと締め付けられるわけだ。だが、アルバムに収められた音は、確かにカバー曲なのだが、どこをとってもnaminoteのオリジナルと言ってもいいほどの完成度。それはまさにErikaの歌の力、声の力の賜物。そしてトロピカルな新しい装いを与えた小林の音、アレンジ力。
「20歳代前半の知り合いに聞くと、1曲も知らないんです。ビックリでしたが、逆に未知なる音としてそうした若い人たちに聴いてもらえれば嬉しいですね」(Erika)
日本には、naminoteのようなイメージを与える男女二人組みのユニットは、意外に少ない。LOVEPSYCHEDELICOや、もともとのSuperfly、今のDREAMS COME TRUE…。二人組ユニットがないわけではないが、naminoteの作品は、言ってみれば“なんだか、色っぽい”のだ。「イパネマの娘」の頃のアストラッドとジョアンが夫婦だったように、作品を作り上げていく時の縦糸(男)と横糸(女)の関係は、単純だが複雑な絵模様を描き出す力になる。
「僕らふたりの関係性を誤解してくれるくらいがいいですね。それは作品制作のコンビネーションがいいからだと思いますし。逆にそれくらいじゃないとユニットとして成立しません」(小林)
アルバムの中に2曲、オリジナル曲がある。2曲目の「常夏の池間~Ikema」と最後の「夕暮れの横顔」。この完成度が素晴らしい。ことに「常夏の池間~Ikema」は申し分のない一曲。デビューのカバーアルバムで、すでに次の可能性を示唆ではなく、体現して見せているのだ。
「いつの時代にもある都市生活者の孤独を歌いたい、それが永遠のテーマですね。哀愁、孤独、出会いと別れ…」(小林)
期待しかできないじゃないか!
『Blue Vacation』
    • 『Blue Vacation』
    • OMCA-1169
    • 2013.07.24
    • 2000円

OKMusic編集部

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