L→R K.A.Z(Gu)、HYDE(Vo&Gu)

L→R K.A.Z(Gu)、HYDE(Vo&Gu)

【VAMPS】海外にアプローチするとい
う意味では最大のチャンス

VAMPSの5年間の軌跡を辿るベストアルバムであり、世界デビューとなる『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』が完成! ただ代表曲を集めただけでなく、演奏の一部をリレコーディングし、全曲英語詞で歌い直し、新たにミックスも施したという超強力盤。本作に懸ける想いをHYDE(Vo&Gu)、K.A.Z(Gu)それぞれに語ってもらった。
取材:本間夕子/ライヴ写真撮影:田中和子

■ HYDE INTER VIEW

すごく1st らしいアルバム これを超え
るのは難しいと思う

ベスト盤であり、世界デビューの1stアルバムでもある『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』ですが、こういった作品を作ろうというアイデアはいつ頃から温めていたものなのでしょうか?

HYDE
前から作りたいなと思ってたけど、タイミングが分からなかったんですよね。それが今、来た、っていう感じ。正直、日本でベストを出そうとするなら、もっとあとのほうがいいと思うんですよ。まだ2ndアルバムまでしか出てないしね(笑)。そうそう、最初はHYDEソロ名義の楽曲からもセレクトしようとしてたんですよ、「MIDNIGHT CELEBRATION」とか定番曲を。でも、そうするといっぱいになりすぎて選び切れなくなってしまったので、VAMPSの曲だけでも十分だなと思って。HYDEの曲は今後でもいいかなと。

歌もそうですけど、全曲ミックスをやり直したり、演奏も一部録り直したというのは、今のVAMPSの音として統一感を出したかったからですか?

HYDE
より最善を尽くしたかったってことですね。今までのも全然悪いミックスじゃないんですけど、今ならもっとできることがあるんじゃないかっていうのと、単純に歌を全部歌い直しているんで、ハマリのいいところに持っていきたいっていう。錯覚かもしれないけど、歌だけ録り直しだと、曲から歌が浮いてしまう感じがして。ミックスもやり直さないと気持ち悪いということになりました。

最初から歌は全部録り直したかったのですか?

HYDE
はい。より完璧を極めたかったんで。日本語を英語に直したっていうのもあるけど、もともと英語で歌ってた曲もさらに悪いところを直したかったんですよね。

「LOVE ADDICT」とかすごく変わりましたよね。

HYDE
そうなんですよ。言葉を発するタイミングが違ってて、こっちのほうがネイティブが気持ちいいみたい。「REDRUM」は歌詞も書き換えてますしね。僕が今、歌うならもっと「REDRUM」は分かりやすいほうがいいと思って。最初に書いた時は、もっと精神状態が混乱してるイメージで言葉を選んでたんだけど、今の僕が表現するならもう少し分かりやすいほうがいいなって。混乱は残しつつ、もう少し話の流れが分かるものにしました。

5年間、歌い続けて熟成されたものが一番いいかたちで収められたアルバムということにもなりますね。

HYDE
そうだね。そういう意味では、すごく1stらしいアルバムですよね。これを超えるのは難しいと思うんですよ。普通、アマチュアバンドがそれまでずっとライヴとかで演奏してた楽曲からよりすぐって入れるのが1stアルバムじゃないですか。まさにそのズルいバージョン(笑)。そういう意味では1stにしてベスト、かもしれないですね。前も1stアルバム作りましたけど、今回も1stアルバムだから、もっともズルいですよね(笑)。これ以上の1stアルバムは作れない。

海外でこのアルバムはどういう聴かれ方をすると思います?

HYDE
どうですかね? まぁ、僕にしてみれば夢を買ったようなもんなんでね。普通に考えたらアメリカで勝負するってなかなか難しいじゃないですか。アメリカ以外の国もそうですけど。でも、このアルバムが発売されることによって今までのやり方よりもグッと攻撃力が上がると思うんですよ。ただ、成功するかどうかは宝くじみたいなものですよね。結果はどうあれ、やるだけやったと納得できるものを残したかった。

でも、道が開けた確信はあるんじゃないですか?

HYDE
基本的にはこれは世界のリスナーに向けたライヴへの招待状でもあるからね。それを引っ提げてのワールドツアーっていう。今まで現地で売られるCDをなかなか作れなかったけど、でも今回はちゃんと向こうで手に入るから。

さて、いよいよ世界に向けての本格的かつ具体的な一歩として9月28日からヨーロッパ・ツアーが始まりますが。

HYDE
LIVE NATION(世界規模のコンサート興行カンパニー)と関わる最初のツアーなので、その手腕を確かめたいな、と。僕としては今までで一番のチャンスだと思ってるんですよ、海外にアプローチするという意味では最大のチャンス。このチャンスを全て活かして、やれることは全部やりたい。ヨーロッパ・ツアーと言ってますけど、他の国でのライヴも増えるかもしれないしね。

ようやくやりたいことが始まるという感覚ですか?

HYDE
やらなければいけないことが始まる、かな。正直なことを言うと、日本で軽くツアー回って制作したりとか、のんびりやるのもいいなと思うんですよ。でも、それはあとからでもできるじゃないですか。今、やろうとしてることは、これを逃すともうタイミングがないと思うんで、やらざるを得ないっていう。

何がそこまでHYDEさんを突き動かすんでしょうね。

HYDE
僕がこれまで音楽で仕事をしてきた、その最後のピークじゃないですか。ここまできたっていう旗を差す、それを今やろうとしてるんだろうね。

確かに過去最高に高いところかもしれない。

HYDE
僕にはそう思えるから。だから今しかないな、と。

そこからの景色はやっぱり見てみたいですか。

HYDE
うん、見たいんだろうな。でも、それもあるけど、自分がやってた証が欲しいんじゃないですかね。HYDEがここまできたっていう、一番キャッチ—な何かが欲しい。

それは自分への証ですよね。周りからそう思われたいというより、自分の肌でそれを実感したい?

HYDE
今はそうですね。音楽を始めた頃はもっとロック・スターになることに憧れがあったのかもしれないけど、それより今は自分の証が欲しい。それがあれば自分の中で少し吹っ切れるというか。やりたいことやったなって。

そうしたら、より自由に、さらにいろいろやれるかもしれないですしね。

HYDE
そうだね。でも、その代わり世界にこだわることはなくなるかもしれないな。それはそれ、みたいな。

ある意味、今が最初で最後の踏ん張りどころかもしれない、と。

HYDE
はい、踏ん張ります(笑)。見届けてください。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着