【宮野真守】確実に感じたL.A.レコー
ディングの意義!
声優として活動する傍ら、アーティストとして着実に歩みを進めている宮野真守が、11枚目のシングル「BREAK IT!」をリリース。初の海外レコーディング曲を収録するなど、新たなチャレンジが満載された一枚になっている。
取材:榑林史章
「BREAK IT!」は低音のとても渋い声から入っていく、アッパーでカッコ良いロックナンバーですね。
ありがとうございます。「BREAK IT!」はアニメ『カードファイト!! ヴァンガードG』のオープニング主題歌ということで、まず突き抜けるような疾走感を表現したいというのがあって。というのも、アニメ『ヴァンガード』が新シリーズとしてスタートするということで、新たな物語の幕開けに相応しい勢いのあるものにしたかったんです。作詞・作曲・編曲のSTYさんとは前作「NEW ORDER」などEDMものを多く制作していただいているのですが、今回は一緒にロックにチャレンジしたい!とお願いしました。新たに走り出すアニメと、僕の中にあった新しいものを打ち出したいという気持ちが合致した楽曲になったんじゃないかと思います。
今回のヴォーカルは低音と高音を幅広く表現されていて、声の質感もいつもの雰囲気とはちょっと違いますね。
ちょっと潰したような歌声を出しているところがあるのですが、それはSTYさんのディレクションで、いろいろチャレンジしながらレコーディングしました。
歌詞は力強く背中を押してもらえるようなもので。
はい。突破力とか明日を切り開いていく強い気持ち、ファイト!という部分…それも強い相手と。そういうものが表現できたらいいなと思いました。同じ戦うでも自分自身との戦いも常にあって。僕自身も限界を決めず、もし限界にぶち当たったと感じても、それを乗り越えていく強い気持ちを持って突き進んでいけたらと思いながら活動しています。アニメの制作側の要望と、自分の気持ちを重ねて表現しました。
《運命なんて言い訳にしか過ぎない 強くイメージすれば真実になる》という最初の2行はグッときました。これは宮野さん自身の経験から?
すごく実感のあるフレーズですけど、それを自信満々で掲げて突き進んでいるわけではないんです。次の歌詞では《されど理想と現実の狭間は 認識した瞬間に剥き出しになる》と歌っています。実際は、上手くいかないことのほうが多いですよね、でも、乗り越えていく強い気持ちを持って努力していけば、もっと成長していけると思っています。
次に2曲目の「Magic」ですが、初の海外レコーディング曲で、ロサンゼルスでレコーディングされたそうですね。
そうなんです。作詞作曲のJin Nakamuraさんとはデビューの時から現在に至るまで、本当にたくさんの楽曲を一緒に制作させていただいて、アルバム『PASSAGE』に収録されている「Identity」を作っていた時に、“アーティストはアウトプットばかりではなく、インプットして自分を豊かにすることも重要だ”と教わったんです。Jinさんはロスでも活動をされていて、タイミングが合ったら向こうで一緒にやろうとおっしゃってくれていたんで、それを今回ようやく叶えることができました。誘ってくださったJinさんにも、スケジュール調整してくれたスタッフにも感謝です!
向こうでのレコーディングはどうでしたか?
機材の違いとか空気が乾いているとか、いろいろ違いは聞きましたが、僕としては気持ちの部分やチャレンジ精神というところで全然違っていて、ロスでレコーディングする意味を、はっきりと感じ取ることができました。Jinさんがおっしゃっていたのは、“こっちは良い意味でフェアだよ”って。人種や見た目やどういう仕事をしてるとか関係なくて、実力だけで勝負させてくれる世界だと。Jinさんの経験に基づいた言葉は本当に説得力があったし、“そういう場所だから、宮野くんもどんどんチャレンジしてほしい”とも言っていただけたので、臆せずチャレンジすることができました。レコーディングブースに入って、いきなりアカペラで歌ってみて!ですから(笑)。もちろんスタッフは現地の人ばかりだし、向こうでは当たり前のことなのかもしれないのですが、僕はドキドキでした(笑)。どんな状況下でも、いかに自分を表現できるのかを試された気がして、僕はすごく意味を感じました。そこでやれたことが、すごく自信になったし、もっとやってやろうという気持ちにもさせてくれました。
そんな「Magic」は女性の賛歌という感じですが。
夢に向かって自分らしく頑張っている女性って魅力的ですよね。僕たち男性はそんな女性の笑顔に勇気をもらっている。そんなことをテーマにした曲です。
ちなみに、アメリカで翻弄されたことは?
食べ物に翻弄されました(笑)。とにかくボリュームがすごくて、お弁当で焼きそばと炒飯のハーフ&ハーフを頼んだら、それってフル&フルやないかーい!っていうくらいすごい量が出てきたり(笑)。知らないことばかりが巻き起こって楽しかったです!
ジャケット写真もロスで撮影したとかで。
戦いながら進んでいる自分の道みたいなイメージが撮れたと思います。ただの旅じゃなく、戦いの旅。遠くを見据えているみたいなイメージですね。「BREAK IT!」のMVは日本で撮影したのですが、広大な大地を舞台にスーツを着たバンドと自分が、自分たちのスタイルを貫いて戦っていくというストーリーなんです。大きな壁に向かって歌っているシーンもあるのですが、それを乗り越えて壁の向こうにある広い大地を目指しているみたいなイメージに仕上がっています。
3曲目はかわいい雰囲気の「Marshmallow Love」で、ラストの「VOICE」はエレクトロなアッパーチューン。タイトルは声の仕事をやっている宮野さんらしいものですね。
「Marshmallow Love」は、とても甘い雰囲気の曲。多彩なコーラスが聴きどころで、宮野コーラス隊が出動しました(笑)。「VOICE」は疾走感を意識して、走っている時の息遣いみたいなものを入れています。僕自身、声で表現してきたし、これからもしていきたいので。そういう意味では、とても僕らしい曲になったと思います。
“マシュマロ”って、こういう綴りだったんですね!
僕も思いました。発音すると“マーシュマロウ”みたいな感じなんでしょうね(笑)。来年のツアーがちょうどバレンタインデーに始まりホワイトデーに向かって開催されるので、この曲でみんな一緒に盛り上がれたらと思います!
- 「BREAK IT!」
- KICM-1547
- 2014.11.12
- 1512円
ミヤノマモル:『DEATH NOTE』『機動戦士ガンダム00』『ポケットモンスター ベストウイッシュ』『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズ『ちはやふる』などのアニメ作品に加えて、『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』などの吹き替えにも出演する人気声優。2008年よりアーティスト活動をスタート。声優、俳優の現場で培った豊かな表現力と類い稀な歌声、そしてダンスを駆使した高いライヴパフォーマンス力を武器に、独自のエンターテインメントを追求し続け、日本武道館やさいたまスーパーアリーナでの単独公演も成功させている。宮野真守 オフィシャルHP