L→R 川口大喜(Dr)、松本 大(Vo&Gu)、中原健仁(Ba)

L→R 川口大喜(Dr)、松本 大(Vo&Gu)、中原健仁(Ba)

【LAMP IN TERREN】大事な曲を届けた
いと思った

メジャーデビューアルバム『silver lining』は新曲ではなく、今まで大切にしてきた過去の楽曲たちを収録。彼らの決意と揺るぎない自信が伝わってくる同作について訊いた。
取材:高良美咲

今年6月にリリースしたミニアルバム『PORTAL HEART』は、初の全国流通盤ということで、今まで以上に多くの人に届いた作品だったと思うのですが。

松本
今まではライヴで出会った人たちが音源を買って帰ってくれるというかたちだったのが、いつの間にかその逆が多くなっていて。“俺が見えないところで、確かに俺らと出会ってくれている人がいるんだ”というふうに思ったことをはっきり覚えています。不思議な気持ちでしたけど、嬉しかったです。

メジャーデビューを控えていますが、意識の面で何か変わったところはありますか?

松本
僕は特に変わっていなくて、もっとたくさんこのバンドで鳴らしていたい、もっとたくさんの曲を聴いてもらいたい、届けたい。…そればっかりです。
中原
これからもっといろいろなところでライヴをしていくと思うので、それがすごく楽しみです。まだ会ったことがないお客さんとも早く一緒に歌いたいです。
川口
ライヴをやる上で、一曲一曲に対する緊張感が高まりました。でも、楽しむことは忘れないようにしていきたいです。

今回のリリースに向けてもライヴがたくさん控えていますが、現在のLAMP IN TERRENのライヴに対する意識とは?

川口
俺らはあくまでもロックバンド。ロックに対する熱い気持ちを貫きたいし、そういうライヴをしていきたいと思っています。たくさんライヴをして、もっと自分もバンドも高めていきたいです。
中原
誰よりも、なんなら松本よりも全力で歌っています(笑)。その姿が自分の本音だし、そうして届けていきたいです。
松本
バンドは名は“この世の微かな光”という意味を込めてあるんですけど、それって俺らだけじゃないんです。みんなも同じだと思っています。だから、そんな微かな光が集まって大きくなれば太陽になると思っていて。みんなと作るライヴならどんな世界にも光は差すし、温かいよって本当に思っています。俺も救われています。いつまでも歌っていたい。

なるほど。1月14日にリリースするメジャーデビューアルバム『silver lining』は、いつ頃からどのような話があったのですか?

松本
実は、前作『PORTAL HEART』の時点でボヤっとこの話は出ていました。今回のアルバムに収録されているのは、ライヴで演奏していたけどリリースしていなかった曲たちなんです。収録していない過去の曲もあり、どの曲が選ばれても自信があったのですが、なぜこの7曲に落ち着いたのかはしっかり覚えていません(笑)。

過去の楽曲を収録するということで、レコーディングはどうでしたか?

松本
『PORTAL HEART』に収録された曲たちよりも前に書いた曲なので、1曲目の「L-R」なんかは6年ぐらい前にバンドに初めて書いた曲だったりして。書いた当時の気持ちと今の気持ちでは全然違うものがあって、レコーディングはほんとに苦戦しました。過去の自分は右も左もわからずに手探りで歌っていて…でも歌いたいという気持ちは確かにありました。
中原
松本が話したように、作ってから結構時間が経ってしまった曲ばかりだったので、場所によってはひとつ歌詞やアレンジを変えると、全てを変えなくちゃならなくて、大変でした。当時の気持ちに今の新しい気持ちを上塗りするのは違うので。あとは、ライヴでの熱量のようなものを出すことを意識しました。
川口
今回はとにかく、“生”感を出すことに力を入れました。やはり、人間が弾いて、叩いて、声を出してやってることなので、“とにかく生々しく!”みたいな(笑)。

「L-R」は長年ライヴなどを重ねてきたことで、どこか変化したところはありましたか?

川口
変化というか、縁を感じます。この曲は(笑)。
松本
6年以上前ですからね、この人(曲)は。腹を括った高校1年の頃の曲だと思うんですよ。“分かんねぇけど歌いたい”って。俺は曲を書いたら基本的に歌詞を書き直したりしないんで、この曲は当時からひとつも変わってないです。この曲を歌い続けてきたから、今の自分があると思っています。これから先も大事に歌っていきたいです。
中原
ライヴでやればやるほど、この曲の戦闘力が上がっている気がします(笑)。いろんな部分で、とにかく強い曲ですね。

リード曲「緑閃光」は2013年7月31日に初自主企画ワンマンライヴの会場限定で発売した曲で、LAMP IN TERRENの代表曲となっていますが、当時はどのような楽曲を作ろうと?

松本
ワンマンをやることになったけど、無名だし、リリースもしてないし、お客さんはちゃんと来るんだろうか…とか不安があったんですけど、その時に“お客さんがいないとライヴじゃない”“お客さんとライヴを作っていくんだ”という気持ちが芽生えて。“緑閃光”というのは地球上で滅多に見ることができない光の現象なんですが、そのぐらい奇跡的な瞬間を俺は何回も見たい、俺は歌っていたいと思いながら生活していたらいつの間にか曲になっていた、という感じです(笑)。

不安から迷ったり立ち止まったりしながらも、希望を抱く歌詞がLAMP IN TERRENの特徴ですよね。

松本
単純に、好きになりたいのかなと思います。自分という存在も含めて、この世界にあるあらゆるものを。

今作では3ピースにこだわらず、シンセなどのさまざまなサウンドが取り入れられているのも印象的でした。

中原
スタジオでずっと3人で話していた音のイメージが実際に鳴って、嬉しかったです。「リメンバー」の鉄琴とか「balloon」のシンセサイザーとか。“そうそう、これこれ”って思いました(笑)。
松本
ライヴでは3人でしか鳴らせないんですが、音源でその制限はかけたくないので、レコーディング中はずっと考えていました。ただ、今回は書いてからかなり時間が経っているものばかりで、だからこそ無理に手は入れませんでした。なんか、ライヴみたいになったなって思っています(笑)。

過去の楽曲が収録された作品ということで、それぞれ思い入れの深い曲もあると思うのですが。

中原
あえて言うなら、「リメンバー」ですね。この曲は作っている段階で歌詞やアレンジを何度も練り直したんです。デモの段階からメンバーのイメージに差があったので、それを3人の中心に近付けていくことが楽しくもあり、大変でした。でも、こうしてやっと音源として収録できて嬉しいです。
川口
「L-R」ですかね。“そうそう、こういう生感がこの曲は合うんよ!”なんて思いながら録ったテイクを聴いた覚えがあります。
松本
選べない…理由は全部大好きだからです(笑)。

そんなアルバムは、出来上がってみてどのような一枚になったと思いますか?

松本
過去の自分が書いた曲たちをこういったかたちで世に出すことができて、本当に嬉しい。書いた当時の自分に教えてあげたいです。個人的には、そういう感じで昔と今を同時に誇れるアルバムになったかなぁ。
中原
シンプルで力強い。だけど、すごくやさしく響くアルバムになったと思います。
川口
昔と比べると、きちんと成長はできてるなと。そう感じれた一枚です。

リスナーにはどのように聴いてもらいたいですか?

川口
自分も普段生きていてたくさんのことで悩み、迷い、すごく苦しくなることがあります。そんな自分の心境とこのバンドの楽曲はすごくリンクしてると思うんです。(松本)大はもちろん、(中原)健仁も。だから、楽曲を通してこの3人の人間っていうのも感じていただけたらと思います。
松本
アルバムタイトルの“silver lining”は“Every cloud has a silver lining”という諺からきていて、意味は“全ての雲は銀の裏地を持っている”。つまりは雲の裏側には確かに太陽があるということで、雲間から差す光のことを“silver lining”と言うそうです。なので、今作は曇天を眺めているけど、それでも雲間から差す光を求めていたような自分が書いた曲たちだったので、そういうアルバムを作ろうと思ったし、そういうアルバムになったと思います。そんなタイトルを付けてしまうくらい、その光を探していた頃の曲たちなので、同じ苦しみではないかもしれませんが、この曲たちが少しでも迷った人の道の先を照らせる、一緒に歩いていける、心の暖をとれる灯りであれたらなぁと思います。でも、これはこっち側の願いなんで、思ったように聴いてください。たくさん聴いてください(笑)。
中原
パッと聴いて、なんかいいなぁと思ってくれたらそれだけでも嬉しいです。そこからたくさん歌ってくれたら最高です。

バンドのこれまでの軌跡や思いを主軸に、サウンド面で新しい挑戦もできた作品になりましたね。

松本
気持ち的には、今作は“ニューアルバムリリース!”という感じではなくて“大事な曲を届けたい!”と思ったので、完成してみたら今度は新しい曲も届けたくなりました。でもね、それは必ずお届けしますから。今世紀中には(笑)。今は大事な曲たちを、『silver lining』をよろしくお願いします。まだ知らない人は『PORTAL HEART』もよろしくお願いします(笑)。
中原
このアルバムで、ここまでの僕らを全て出し切りました。しっかり聴いて、僕らを知ってほしい。その上でこの先の僕らを楽しみにしてくれたら、本当に嬉しいです。
『silver lining』
    • 『silver lining』
    • AZCS-1040
    • 2015.01.14
    • 2160円
LAMP IN TERREN プロフィール

ランプ・イン・テレン:2007年結成。11年に現在の3ピース編成となる。12年、本格的なバンド活動を決意し、バンド名を“LAMP IN TERREN”に。13年12月には『MASH FIGHT』『RO69JACK』でともにグランプリを獲得。一気に知名度を全国区に広げ、15年1月にA-Sketchよりメジャーデビュー。LAMP IN TERREN オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着