【ドラマチックアラスカ】自分のやり
たいことをやるのが一番カッコ良い
タイトルのインパクトだけではなく、聴いてみてそのアグレッシブに攻めた姿勢にも驚かされるシングル「無理無理無理」。新体制となった2015年の決意を印象付ける今作についてヒジカタナオト(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲
ドラマチックアラスカは、結成時はどのようなバンドだったのですか?
僕が高校2年生の時に文化祭で知り合ったメンバーで結成しました。僕は学校でも特に目立つような存在ではなかったので、文化祭のその1日の20分ほどのステージだけがつまらない学校生活の中で唯一輝ける時間で、その感動を味わいたくて外でバンドを組んだんです。そういう背景があるので、何か伝えたいことがあってバンドを組んだというよりは、ライヴがしたくてバンドを組んだ印象です。ライヴハウスに出るにはオリジナル曲でないといけないらしいということが分かってから曲を作り始めたし、部活や文化祭の延長のようなところがあったので、“どうなりたい”“どこでやりたい”“どれくらい売れたい”といった気持ちはそれほどなかったです。いつまで続けるのかも決めてなかったし、5年近く続くことになるとは正直思ってませんでした。そうしたメンタリティーだったので、インディーズデビューというのは不思議な感覚だったように思います。
バンドを続けていく中で、意識の面で変わったところはありますか?
そこからいろいろな経験をさせてもらう中で、音楽をずっと続けたいという気持ちが強まり、今では迷いといったものはありません。“誰かに伝えたいものなんてない”と思い込んでいましたが、普通に生きていて何も思わずに生きることのできる人なんていないわけで、それをSNSなどよりもっと強力な“音楽”という手段で周りに伝えることのできる環境がある自分は、とても幸せな人間なんだと思います。
昨年7月9日にはミニアルバム『ビヨンド・ザ・ベーリング』をリリースしましたが、聴いた方からはどのような感想を受けていますか?
ずっと苦手意識のあった歌詞にようやく手応えを覚えたアルバムだったのですが、その手応え通りに歌詞に対する反応が大きかったのが嬉かったです。リリースを重ねることで各地着実に遊びに来てくれるお客さんも増え、バンドとしての可能性を強く感じました。
その後、年末にはギターのトバナオヤさんが学業に専念するため活動休止と、バンドにとって大きな変化が生じたと思います。2015年になり、ライヴを行なってみて現在のバンドとしての状況はどのように感じていますか?
僕が根源的精神的な部分でどんな時でも引っ張ってきたドラマチックアラスカなので、僕が変わらない限りドラマチックアラスカは何も変わらないということが示せた1月の3本のライヴでした。本サポートとのライヴは2月からとなるのですが、打ち合わせや練習は何回か行なっていて、4人に化学反応が起こっているのを感じていますね。一見ネガティブに見えるムードを、何倍返しにでもして投げ返せる自信があります。2月からのライヴや制作がとても楽しみで、高校生の時に戻ったみたいに音楽のことを考えるのが楽しいです。
そして、3月4日にシングル「無理無理無理」がリリースとなりますが、今作はいつ頃から制作を始めたのでしょうか?
前作がリリースされて一段落したところで制作を始めました。僕らには制作期間というものがないので、ライヴやリハーサルをしながらレコーディングを進め、夏頃には曲完成、9月〜11月くらいの間にレコーディングをしました。新年1枚目、春ということで宣言や決意のような一枚になればいいなと思っています。
「無理無理無理」はタイトルのインパクトが大きいですが、ただ心の中に溜まった不満などを描いているだけではなく、前に進むために感情を吐き出しているように思いました。
リリースを重ねるにつれ、僕らの曲を聴いてくれる人やバンドに関わってくれる人も少しずつ増えていったのですが、個々が簡単に発言できてしまう時代背景の中で、片方に耳を貸せば他方から批判。批判サイドに耳を貸せばまた他方からの批判。どこまでいっても全員にいい顔なんてできない。ならば、自分のやりたいことをやるのが一番カッコ良いんじゃないか。そもそもロックバンドってそういうものじゃないか。…というところに辿り着いて、この曲の歌詞ができました。
ライヴで大合唱が起きそうな「フレームアウト」は、ベースソロからの終盤に向けてのメロディーの展開も印象的でした。
ダンスロックなどが流行していますが、少しズラしたところでそれを意識してみました。メロディーはもともと僕らの持ち味だと思っているので、流行と僕らの持ち味がうまく混ざり合った結果かなと思います。
最後を締め括る「トドメノイチゲキ」はエネルギッシュなバンドサウンドで、エッジの効いたギターなどが耳に残るのですが、もともとはどのような楽曲を作ろうと考えていたのでしょうか?
毎回シングルにはコミックソングが入っているのですが、この曲は完全にそれです。実はこの曲は“プリンのうた”なのですが、えらくロックに聴こえる歌詞に仕上げました。サウンドと歌詞の本質のギャップが面白い曲だなと思っています。
今回の制作で得られたことはありましたか?
これは毎回作品を作り終えて思うことなのですが、自分たちの成長に気付きました。ライヴよりもレコーディングという作業のほうが次の予定までのスパンが長く、リズム感が良くなっていたり、ミスが少なかったり、表現力が上がっていたり、日々のライヴでは気付きにくい部分をデータで教えてくれるので、まだまだだと思うところもありながら自信になるところもあります。今作はプレイヤーとしての技術や、録音のテクニックなど、メンバーの成長が圧倒的に音源のクオリティーと音質の向上につながりました。
今作は全体を通してアグレッシブに攻めた一枚になりましたね。
その通りだと思います。さっきと重なりますが、2015年は新体制になり、デビュー3年目に突入し、全ての決意を宣言する一枚になったと思います。
リリース後はどのようなことを行ないたいですか?
今は次のアルバムに向けて大量の新曲デモを量産中です。いい曲を作って全国を回りながら、去年は出演し損ねた夏フェスや年末フェスにも出演します。あくまで音源というものはライヴの再現であるので、気に入ってもらえたらライヴハウスに遊びに来てください。僕らはいつでもお待ちしてます。
- 「無理無理無理」
- LDCD-50108
- 2015.03.04
- 1000円