L→R  T$UYO$HI(Ba)、JESSE(Vo&Gu)、NAKA(Gu)、ZAX(Dr)

L→R  T$UYO$HI(Ba)、JESSE(Vo&Gu)、NAKA(Gu)、ZAX(Dr)

【The BONEZ】人のハートをメロディ
ーでキャッチしたい

The BONEZは猛烈な勢いと研磨された旋律を携え、このミニアルバム『Beginning』で真のスタートを切る。現4人がより高いハードルに向かって挑戦した全6曲。今作に吹く清新な風について、JESSE(Vo&Gu)に話を訊いた。
取材:荒金良介

昨年12月の恵比寿リキッドルーム公演で“ここから始まりだ”みたいなMCをしてましたが、まさにその発言と同じようなアルバム名になりましたね。

始まろうとしている、という意味なんですよね。最初は角張っていた石でも何回も転がるうちに角がとれて丸くなるように、今作のツアーから回り始めたらいいなと。今まで一発録音でレコーディングしてたけど、改めてPro Toolsを使って、完璧なデモを作ってから、各々のパートのレコーディングを進めたんですよ。さらに歌に関しては1曲12時間ぐらいかけて仕上げた。プロデューサーの方に完璧なテイクが録れるまでOKを出さないでくださいと伝えて。初めて歌に対してこんなにチャレンジした。RIZE、Pay money To my Pain(以下PTP)のメンバーがいるバンドじゃなくて、The BONEZなんだという"Beginning"でもあるし、フロントマンとしての存在、引き出しの多さ、その意味での"Beginning"でもある。PTPは繊細で刹那的な感じだったけど、The BONEZはアホで楽しくて、だけど、号泣しちゃうみたいな(笑)。ここからが始まりですね。

ライヴで聴いた時も衝撃的でしたが、今作の冒頭を飾る「Ray」は豪快に突き進む直情ナンバーですね。

カッコ良いよね、ハイブリッド・スマパンみたいな(笑)。「Ray」はT$UYO$HIが書き下ろしたもので、みんなでいいじゃん!と言って。あのスピード感はできるかなと思ったけど、じゃあ、やれるまで練習しようって。それもみんなでチャレンジしました。歌も未だに韻は踏んでるし、「Ray」でヴォーカルの立ち位置が分かった気がする。

というのは?

今までAメロ、Bメロ、サビという通常の楽曲の考えがなくて。RIZEでは気の向くままに曲を作ってたし、PTPは大フック、小フックとかあったけど、今回はそれをナチュラルにやれたんですよ。歌詞の世界観もRIZEはポジティブで“大丈夫、心配はいらない”という内容だけど、The BONEZは“やれるけど一歩踏み出せない、分かってるけどマイナスに考えてしまう”。RIZEでは表現できなかったけど、The BONEZの歌詞でそこを出せるようになって、もっと感情移入できるようになった。「Ray」はみんなを照らすという意味よりも、自分たちに対して歌ってるんですよね。

なるほど。今作の中で現在の4人で初レコーディングしたのが「Place of Fire」になるんですよね?

そうですね。全部を並べると、この「Place of Fire」のために他の5曲があったんだなと。作った当時は歌モノだし、まだしっくりきてなかったけど、この5曲と合わせると辻褄が合った。意図的に歌モノにしようと思わなかったけど、自然とこういう方向に進めましたね。あと、「Memory」は「Sun Forever」に変わる楽曲をつくるというテーマだった。「Sun Forever」はK(PTPのヴォーカリストで2013年1月に急逝)のことを書いたから。それに代わるものとして「Memory」を作ろうと。この歌詞も友達、家族、誰にも置き換えられる内容ですからね。

今作は曲調からパワーや明るさが放出された最高に風通しのいい一枚に仕上がりましたね。

2ndアルバムの『Astronaut』の頃はみんなでメロディーを考えたんですよ。でも、今回はひとりで全部生み出したし、歌に関しても新しい技を得られたような感覚ですね。今回初めて訳詞も付けたけど、俺の英語の世界観を初めて伝えられた気がする。

一曲一曲伝えたいことが明確になったんでしょうね。歌詞も自分ができること、できないことを赤裸々に綴ってますよね。できないことを理解すると、自分ができることに対してより一層パワーを注げますもんね。

今できなくても、来年できるようになるという自信も付いてきたんですよ。みんなやりたいことはやれると勘違いしちゃうんですよね。人間、作れるものしか作れないから。その中でやれることは徐々に増えてますね。

現段階でできることを精一杯やり切ろうと。

うん、「Escargot」はZAXとふたりで作ったけど、あんなメロディーが付くとは自分でも思わなかった。「Hello Monster」もあんなグランジな曲だけど、サビではメロディアスになるからね。「Hey,You」もパンクな曲なのに、あれほどキャッチーなメロを考えたのは生まれて初めてかもしれない。

楽曲で特に重要視した点というと?

ラップ、シャウトは得意中の得意だけど、例えばラジオ局でワンコーラスをふと歌った時に、人を魅了するのはラップじゃできないと思うんですよ。人のハートをメロディーでキャッチしたいと思うようになって。今回も全曲ラウドだけど、アコギ一本で歌えるものになってるんですよ。

アコギのフィーリングを曲に落とし込もうと?

いや、そういうつもりはなかったんだけど、家でメロディーを考えてる時に全曲アコギで弾きながらメロディーを歌ってたの。アコギで弾いて歌える曲はメタルにしてもいけると思うし。これをもっと自分のものにしたら、自在にラップも入れて、ひとりLINKIN PARKになれるなって。

はははは、いいですね。

まだ一個ずつしかできないんですよね。1stアルバム『Stand Up』はラップ、2ndアルバム『Astronaut』で歌とラップを半分ずつ、今回は歌100パーセントにして、次は『バットマン』で言うところのリターンズになるから(笑)。ラップしながら、アコギでもやれる曲を作れたらいいですね。ちなみに今年親父のCharが60歳の還暦で、久々にフルアルバムを作るんですよ。俺、生まれて初めて親父のために作詞作曲したんです。そんなことができるようになったのもThe BONEZのおかげですね。俺が書いたメロディーで、親父を感動させられたのは嬉しかったですね。
『Beginning』
    • 『Beginning』
    • TBRD-0325
    • 2015.03.25
    • 1620円
The BONEZ プロフィール

ザ・ボーンズ:2012年、RIZEのJESSEを中心に、Pay money To my PainのT$UYO$HI、ZAX、そしてNAKA(ex-RIZE)とともに結成。14年、2ndアルバム『Astronaut』をリリース後、国内外の大型フェスに多数出演し、圧倒的なライヴ力を披露し注目を集める。リリカルな英語詞とメロディックな楽曲がヒットし『NISSAN X-TRAIL』などタイアップも多数。18年、3rdアルバム『WOKE』リリース前にしてツアーチケットが取得困難になり話題沸騰中。現在もっとも注目を集めているバンドだ。The BONEZ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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