L→R 龍田一馬(Dr)、阿部将也(Gu&Vo)、野澤拓真(Gu)、大久保 寛(Ba)

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【LINE wanna be Anchors】無駄を削
ぎ落としてシンプルに仕上がった一枚

京都発・LINE wanna be Anchorsが、8月5日に初のミニアルバム『Anchors Is Mine』をリリースする。衝動的でありながら鋭く磨き抜かれた楽曲たちでバンドの幅の広さを印象付ける一枚に仕上がった。
取材:高良美咲

LINE wanna be Anchorsは2011年に結成されたとのことですが、結成までのいきさつを教えてください。

阿部
もともとは高校の時に組んだバンドで、京都と愛媛を中心に活動していました。当時はただ、いいメロディーを書いていい歌詞を書いて、バンドアンサンブルでやりたいっていう気持ちのみでやっていましたね。盛り上がるバンドじゃなくて、お客さんも座っている、ビルボードでライヴをするようなバンドを目指していました。

結成時はどのような活動をメインに行なっていたのですか?

阿部
京都を中心に、ただひたすらライヴをしてましたね。当時はチケットノルマというものがあり、お客さんを呼べなかったらバンドがお金を払う制度を課せられていたんですけど、月に5本はライヴしてましたね。そこで精神力と体力と節約術を学んだ気がします(笑)。それがだんだん信頼を得てきてノルマがなくなり、もっとお客さんに楽しんでもらわなきゃって思うようになりました。しかし、流行りの音楽ではなくて恒久的なミュージシャンを僕は目指していたので、その想いと、今流行りのフェスバンドにどれだけ寄り添えるかっていうところも考えていました。お客さんの手が上がるとこんなに楽しいんだ!っていう発見もありましたしね。

8月5日にリリースされるミニアルバムは“Anchors Is Mine”と名付けられましたね。

阿部
端的に言うと、“聴いてくれている人ひとりひとりの頼みの綱は俺らだぞ”“俺らが支えてやるぞ”っていう強い意味があります。ジャケットデザインも力強く縄を引っ張るアートワークになっていて、それも楽しんでもらえればと思います。

バンド名の“LINE wanna be Anchors”とタイトルに共通する“Anchor”という言葉は、バンドにとってキーとなっているところもあるのでしょうか?

阿部
“Anchor”は、僕の中では意味が強いですね。あとは、“LINE”を五線譜と捉えていて、僕らの音楽が頼みの綱になるといいなというのがもともとのバンド名の由来です。

『Anchors Is Mine』は、どのような作品にしようと考えていましたか?

阿部
今回のアルバムはバラエティー豊かに、でも、あくまで僕ららしく。とにかく、僕らの表現できる全てを詰め込もうと思いました。楽曲はキャッチーなものからジャジーなものまで好きにやってます。作曲も僕がしこしことひとりで書いたものからセッションまで、幅広いアプローチをしていますね。今作では特に歌詞を見てほしいです。最後でオチがある作風なので、僕は。

6月3日に今作に先行してリリースした100円シングル「アンチヒーロー」は、現在のLINE wanna be Anchorsを代表する楽曲になっていますが、反響はどうですか?

阿部
いいと思いますよ。元気が出るとか楽しいとか、気持ちが上がるという感想が多くて僕も嬉しいです。「アンチヒーロー」を演奏している時は、僕自身もめちゃくちゃ楽しいですもん(笑)。これを機に僕らの楽曲を聴いて、“なんなんだ、この何でもやるバンドは!?”って思ってほしいですね。

疾走感のあるトゲトゲしいロックサウンドの中で、「There is (no) one」はどこか焦燥感があり、聴く人の想像を働かせる曲ですね。

阿部
「There is (no) one」に関しては僕自身殻にこもっている状態で出来上がったので、僕にしか分からないかもしれません。決意のような感覚です。誰かのためにではなく、“目の前のあなたに届けたい”っていう決意です。でも、聴く人みんなが各々の考え方をして楽しんでもらえればといいなと思います。メロディーと語感の兼ね合いはかなりこだわっていて、伝えたいところはあえて違和感を作るし…言葉遊びが好きですね。

「WATASHI」はもの悲しい歌詞の中に映画『アメリ』を彷彿させるフレーズが入っていたりと独特の表現が面白かったのですが、どのようなきっかけから書いた楽曲ですか?

阿部
これは失恋の曲なんです。ある映画を観ている時に、ずっとすれ違ってる男女模様や会う前日のドキドキ感などを僕らしく書きました。アメリとニノの恋愛模様が、美しくも人間らしくて好きなんです。あと“アメリ”と“ニノ”っていう語感が気に入って使いましたね。サビの最後の《君が胸を締め付ける》っていう言葉に全てがかかっているといっても過言ではないくらい、僕は気に入っている歌詞です。

「us」の《伸ばした髪が似合うようになったら》というラストのフレーズもインパクトがありました。

阿部
前のメンバーが就職活動を機に抜けたんです。曲も前のベースが作っていたんですけど、メロディー以外がかなりアンダーグラウンドなサウンドだったので、メロディーはキャッチーにしようと思って作りました。あの歌詞は就職活動で抜けるメンバーの帰る場所を作ってあげたいという意味と、場所がどこであろうと気持ちはつながっている人たちの日常を描いた歌詞です。

「ash」は歌を際立たせた哀愁が漂うシンプルなサウンドで、ムーディーな部分もあったりと、サウンド面での聴きどころも満載でした。作品全体を通して力強く感情的でありながらさまざまな色を見せるヴォーカルを活かすサウンドですが、バンドとして意識していたことは?

野澤
僕がギターをアレンジする際のテーマがまさに“歌を活かすこと”なので嬉しいです(笑)。ギターロックにありがちな裏メロ的にフレーズを走らせるのではなく、歌が一番美味しく聴けるように、絶妙な調味料になれるよう意識してフレーズを組み立てています。「アンチヒーロー」や「us」は味をきつくしないとヴォーカルが映えないと思ったので、あえてコテコテのリフを弾きました。
阿部
この曲はセッションで作ったんです。もともとメンバー全員ジャズロックが好きで、そんな曲を作りたいねって言って僕が最初のイントロを弾き始めたんです。そしたらアイデアが面白いように出て(笑)、すごく楽しく作れました。歌詞は場末のバーで大人の女性がハイヒールを履いて入ってくるっていう描写からイメージを広げていって、ヴォーカルはシンガーソングライターのルーファス・ウェインライトをイメージして歌ってます。
大久保
“阿部の歌を活かそう!”と無理に考えているというよりは、自然に曲の良さを出そうとすると結果的にヴォーカルが活きるようになっていると思います。
龍田
歌を際立たせるっていうのは大前提としてありつつ、単調にならないようにというか、何回も聴きたくなるようなフレーズを散りばめることを意識しています。それで曲全体もヴォーカルも活きてくると思いますし、誰が叩いても同じだったら意味がないので。

ピアノを取り入れた「mirror」は、壮大さと奥行きを感じさせる一曲で、映画の主題歌になってもおかしくないんじゃないかと思うほどの名曲ですね!

阿部
王道のバラードを作りたかったんです。それこそスタジアムとかでみんなが息を飲むような。でも、それでいて歌詞は等身大で分かりやすいものを目指しました。コードは大久保が持ってきて、本当にすぐメロディーを乗せることができました。降りてきた感覚に近いですね。僕はエンドロールで流れてもおかしくない楽曲作りをテーマとしているので、映画の主題歌っていうのは本当に嬉しい言葉です。ライヴでは美しさと熱量を感じていただければ嬉しいですね。

最後の「愛の堤防」はギターのフレーズやサビの感情的に歌い上げる部分が耳に残るし、2分半というスピード感も良い意味で簡潔なので、また繰り返してミニアルバムの頭から聴きたくなります。

阿部
『Anchors Is Mine』において、最後に大団円を迎えるというのはある種の裏テーマでした。「mirror」で終わると満足しちゃうかなと思ったんです。“え? まだあるの!?”みたいな違和感も欲しくて。でも、「愛の堤防」で終わると違和感と同時にまだワクワク感や期待感が残るんです。愛の堤防は最後の一説で《愛が欲しいだけ!》という強く切実な叫びで終わっていて…何と言うか、“あぁ、聴いて良かったな”って幸せな気持ちになって、もう一周したいなって率直に思ったんです。

多彩な7曲が収録されたミニアルバムになりましたね。

阿部
バラエティーに富んでいますが、僕ららしい一枚になったんじゃないかなって思います。根底の普遍的かつ捻くれたロックンロールってのは全曲に当てはまるし。先ほども言いましたけど、今回は歌詞がすごく開けていて、僕自身のクローズな部分をオープンにしているので、歌詞カードを見ながら聴いてほしいです。

その中でも思い入れのある曲は?

阿部
個人的には「WATASHI」です。歌詞を書くにあたって一番練りました。曲がポップだし、僕のメロディーと(野澤)たくまくんのギターの掛け合いのアレンジもとことん悩んで最高のアレンジに仕上がったので、ここにどんな想いをぶつけるかという問題に直面しました。本当に、家で昼から朝まで悩みましたね(笑)。でも、最後の最後で《君が胸を締め付ける》という言葉が出てきて救われました。個人的に一番難産の曲なので思い入れが強いです。
野澤
僕も「WATASHI」です。現時点でできる、自分が描いていた理想のフレーズで曲を彩ることができたので、完成した時はニヤリとしました。阿部が歌詞のキラーフレーズについて語っていますが、その歌詞をギターに乗せるなら絶対にこれだ!という最高のフレーズが乗っているので、必聴です。
大久保
僕がコードを持ってきたこともあり、「mirror」は特に思い入れのある曲です。それに阿部の乗せてくれたメロディーがかなりマッチして、いい化学反応が起こせたなと思います。ベースは一音一音魂込めて弾いてます。
龍田
「us」ですね。僕は前のドラマーと仲が良いので、そういう意味ではこの曲はかなりグッとくるものがあります。

出来上がってみて、どのような作品になったという実感がありますか?

阿部
全体的に、より無駄を削ぎ落としてシンプルに仕上がりましたね。だからこそ、アレンジやコーラスワーク、音などはこだわりを持ちました。「us」に至っては、メタルバンドに近い深い歪みを掛けてアウトロを録ったりしましたし(笑)。聴きどころは…全部です(笑)。本当にそれくらい、どれをとっていいか僕自身も分からなくて。全曲歌詞を見ながら聴いて浸ってもらえればなと思います。そして、僕らはやっぱりお客さんと一緒に音楽を共有したいという想いが強いんだなということを再発見しました。ライヴで手が上がったり、口ずさんでくれてたりするのが見えると楽しいし。だからこそ、音源でこう楽しんで下さい!っていうのを提示したかったんです。

リリース後はツアーを予定していますが、ツアーでの楽しみがあれば教えてください。

阿部
今まで行けてなかった地方にも行って、みんなと共有したいです。来てくれたお客さんを全カ所で独り占めしたい(笑)。LINE wanna be Anchorsの虜になってもらえるようなツアーにしたいと考えています。ツアーでの楽しみは、各地方のディープなお店で美味しい料理を食べることですね。僕らはみんな痩せているのですが、食べることが大好きなので! でも、たくさんのお客さんの前で『Anchors Is Mine』の曲を披露することが一番楽しみですね。みんな来てね。
野澤
現在進行形でシングルのリリースツアー中なのですが、そのままアルバムツアーに突入します。今の時点でもこれまでより進化してるなという実感があるのですが、アルバムツアーではさらにひと皮剥けたライワナを観せたいですね。1カ月観ないだけで相当進化するバンドなので、何回来ても楽しんでもらえると思います。旅は考えごとをする絶好の機会なので、移動中や現地に着いてからの空き時間はその土地の空気を感じつつ散歩するのが好きです。あとはラーメンです(笑)。
大久保
初の全国流通アルバムということで、今まで僕らを知らなかったお客さんたちや、ずっと応援してくれている方みんなが楽しめるようなツアーにしたいですね。あとは、各地のおいしいラーメンを食べたいです(笑)。
龍田
ツアー各地でいろんなアーティストの方とご一緒できるのが楽しみですね。普段あまり共演できないバンドとかいっぱいいると思うので。あとは、ご当地ラーメンですね。
『Anchors Is Mine』
    • 『Anchors Is Mine』
    • 4ON6-0002
    • 2015.08.05
    • 1836円
LINE wanna be Anchors プロフィール

ラインワナビーアンカーズ:2011年、京都にて阿部将也を中心に結成。文学的かつ心情を吐露するような叙情的な歌詞に、静と動を奏でる4人組ギターロックバンド。15年6月に初のシングル「アンチヒーロー」をタワーレコード店舗限定で発売すると各地域で売切れが続出。多くの注目を集める中、8月5日に初の全国流通盤ミニアルバム『Anchors Is Mine』をリリース。LINE wanna be Anchors オフィシャルHP

OKMusic編集部

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