L→R 小川幸慈(Gu)、長谷川カオナシ(Ba)、尾崎世界観(Vo&Gu)、小泉 拓(Dr)

L→R 小川幸慈(Gu)、長谷川カオナシ(Ba)、尾崎世界観(Vo&Gu)、小泉 拓(Dr)

【クリープハイプ】新曲「リバーシブ
ルー」が示すクリープハイプの本質

クリープハイプがニューシングル「リバーシブルー」(『明星一平ちゃん夜店の焼そば』マヨンナ篇のCMソング)をリリース。“会いたいけど、会いたくない”という複雑な感情をテーマにした表題曲は、このバンドの本質に直結している。
文:森 朋之

 フロントマンの尾崎世界観(Vo&Gu)が東京スカパラダイスオーケストラの「爆音ラヴソング/めくったオレンジ」にゲストヴォーカリストとして参加したり、9月30日に幕張メッセで開催される『TOWER RECORDS presents Bowline 2015』ではキュレーターを務めるなど(出演は東京スカパラダイスオーケストラ、ストレイテナー、私立恵比寿中学、miwa、BLUE ENCOUNTなど)活動の幅を広げているクリープハイプから、前作「愛の点滅」に続く、今年2枚目のシングル「リバーシブルー」が届けられた。『明星一平ちゃん夜店の焼そば』(マヨンナ篇)のCMソングとしても話題を集めたこの曲は、“会いたいけど、会いたくない”“やりたいけど、やりたくない”という引き裂かれた感情を歌った…つまり、尾崎世界観らしいロックチューンだ。
「基本的にそんなことばっかり歌ってるんですけどね、クリープハイプは。実際“会いたいけど、会いたくない”ということもあるじゃないですか。例えば、ずっと憧れていた人とか。あと、幸せなはずなのになぜか怖いと思ったりもしますからね。幸せすぎても不安になるし、落ち着かないので」(尾崎)
 疾走感と緊張感を共存させたバンドサウンドも極めて魅力的。今年の夏、2年振りに約10本もの夏フェスに参加したクリープハイプ(昨年の夏は自らのワンマンツアーを行なっていました)。各地のフェスでオーディエンスを魅了した彼らの充実ぶりは、この楽曲のサウンドにもシャープに反映されている。
「基本的には終始4つ打ちの曲ですね。いつもは(小川)幸慈さんが面白いフレーズを弾いてくれるんですけど、今回は尾崎さんがデモの時に弾いてたリフを使っています」(長谷川)
「小川くんもいいフレーズを弾いてくれてますけどね。“そのフレーズはちょっと違うな”とか言うと、寂しそうな目をするので、申し訳ない気持ちになるんですけど(笑)」(尾崎)
「(笑)。ずっと4つ打ちだから、曲が平坦にならないように16っぽいテイストを入れた感じですね」(小川)
「ライヴでもすでに演奏していて。盛り上がる曲になるように考えていきたいです」(小泉)
 2曲目には「カップリング」を収録。カップリング曲に“カップリング”というタイトルの曲を持ってくるところも尾崎らしいが、カラフルなメロディー、感情が色濃く伝わる演奏を含めて、現在のクリープハイプのモードがはっきりと感じられる楽曲に仕上がっている。
「ずっと前からやろうと思ってたんですけど、(カップリング曲に“カップリング”という曲を収録する)このアイデア、1回しか使えないですよね(笑)。もちろんカップリング曲もすごく大事だし、カップリングだからこそ言いたいことが言えたりもするんですよ。“実はカップリングに名曲が多い”っていうのはいいバンドだと思うし、曲を作るための労力、かけてる時間は全部同じですから」(尾崎)
「2番のサビの頭が《光の中で二曲目が回る》という歌詞なんですが、その瞬間、すごくカラフルなイメージになるんですよね。そこからアウトロに向けて演奏がグッとエモーショナルになっていくのが、この曲の叫びみたいな感じがして、とても美しいなと思っています。私はCDが回っているところを実際には見たことがないですが、その様子も思い浮かびますし」(長谷川)
「《光の中で二曲目が回る》ってCDのことだよって言っても、若い子たちは分からないかもしれないですね(笑)。“巻き戻し”とかも通じないって言うじゃないですか。そういう感覚に近いのかもしれないですね、CDも」(小川)
「確かにそうかもね。この曲はアレンジにも時間をかけてるんですよ。リズムのパターンもカオナシとふたりで探って、普段とは違う感じも試して。また新しい表現ができたんじゃないかと思います」(小泉)
 そして、3曲目の「わすれもの」は、“松居大悟×クリープハイプ”のコラボレーション映画第二弾『私たちのハァハァ』の主題歌である。
「映画のために書いた曲ですね、これは。北海道の映画祭(『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015』)の時は、曲が間に合わなかったんですよ。(松居監督に)“賞が取れなかった、おまえのせいだからな”って言われましたけど、“そんなこと知らねぇよ”って言っておきました(笑)。(←結果は見事に2冠を獲得!) ちょっと昔っぽいというか、原点回帰みたいな感じもありますね」(尾崎)
「自分のベースのプレイ、4人で演奏してる時の感覚もそうなんですけど、時期で言うと『待ちくたびれて朝がくる』(2011年発表の3rdミニアルバム)あたりの雰囲気を感じますね。我々の得意とする速度だとも思いますし」(長谷川)
「うん、やりやすいというか、ちょうどいいテンポ感かもしれないですね」(小泉)
「「寝癖」(2014年発表の4thシングル)の時は自分たちのど真ん中にある曲を狙ったところがあったんですけど、今回は自然にそういう質感になってきて。勢いもあるし、気に入ってますね。前は“勢いだけ”みたいな感じもあったんだけど、今はそうじゃないと思うので」(小川)
「リバーシブルー」2015年09月30日発売UNIVERSAL SIGMA
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UMCK-9770 1944円
    • 【通常盤】
    • UMCK-5583 1296円
クリープハイプ プロフィール

クリープハイプ:2001年、3ピースバンドとして結成。下北沢を中心にライヴ活動を行なう。幾度かのメンバーチェンジを経て、09年に現メンバーで活動開始。12年4月にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューを果たす。14年4月には、自身初となる日本武道館公演を2デイズに渡り開催。その後も精力的な活動を続け、CM、映画、アニメなどの数々のタイアップをはじめ、16年6月には尾崎が初の小説『祐介』を発表し大きな反響を呼ぶ。着実に活躍の場を広げている中、同年9月7日に4thアルバム『世界観』をリリース。クリープハイプ オフィシャルHP
UNIVERSAL SIGMA
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クリープハイプ オフィシャルInstagram
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