L→R KOHTA(Ba)、ギル(Gu)、キリト(Vo)、Karyu(Gu)、TAKEO(Dr)

L→R KOHTA(Ba)、ギル(Gu)、キリト(Vo)、Karyu(Gu)、TAKEO(Dr)

【Angelo】Angelo初の6曲入りEP盤連
続リリースを考察

9月に『FACTOR』、12月には『RESULT』という6曲収録のEP盤を連続リリースするAngelo。この2アイテム連続リリースには一体どんな仕掛けが隠されているのか。今年10月に結成9周年を迎える彼らの“哲学”するロックバンドとしての側面を大フィーチャーしながら、キリト(Vo)とKaryu(Gu)に話を訊いた。
取材:東條祥恵

発売日から30日間限定生産で6曲入りEP盤を2枚連続でリリースするという形態は、Angelo初の試みですよね。

キリト
毎年1枚アルバムを出してきて、そろそろアルバムまでに時間を空けてもいいんじゃないかなという空気があったんで、じゃあ逆に短期間で2枚作ろうって。ひねくれた感じで。

では『FACTOR』と『RESULT』、2作にはどんな関係が?

キリト
“FACTOR”は“要因”という意味で、その結果に至るには原因があるという概念なんです。アインシュタインの“神はサイコロを振らない”という言葉は、ある結果がある時には必ずその原因があるという因果律という考え方なんですけど。『FACTOR』をアインシュタインの概念に基づいたものだとすると、もう一方の『RESULT』は“結果”という意味で、こちらは結果が全てであって、そこに至るまでの要因は意味を持たないという概念なんです。さっきのアインシュタインの概念とは対照的で、量子力学を皮肉った『シュレーディンガーの猫』のパラドックスは…分かりますか?

すいません、分からないので教えてください。

キリト
これは箱の中に猫を1匹閉じ込めて、その箱の中に放射性物質が入った装置と、その装置に取り付けられた測定器、青酸ガス発生装置を入れておく実験なんです。猫がもしその装置に触れると、測定値が放射性物質を感知して青酸ガスが発生し、箱の中の猫は死んでしまうんですね。箱が閉まってたら(箱の中の猫は)生きているか死んでいるか、そのどっちかでしょう?というのがアインシュタイン的な考え方なんだけど、量子力学では猫は生きてると同時に、死んでいるというように、ふたつの次元が同時に存在していると考える。

つまり、そのふたつ両方の答えが正解ということ?

キリト
そう。こっちでもあり、あっちでもあると。箱を開けて、その結果を観測したから結果が存在するだけであって、観測さえしなければ生きている、死んでいる、そのどちらもあるという概念なんです。

おぉー。確かにそういう考え方もできますよね。

キリト
この“両方の存在がある”という考え方は、ありそうでなかったんですよね。『シュレーディンガーの猫』とかチンプンカンプンかもしれないですけど(微笑)、僕は面白い考え方だなと思うんです。例えば、ここにいるKaryuが1時間後に楽しい気持ちで帰るKaryuもあれば、僕に叩かれて(笑)痛い思いをしながら帰るKaryuもあるということですから。今の時点では。それは帰る際に観察しないと分からないと。これを恋愛の話に例えることもできますからね。

なるほど。では、このように概念が異なったコンセプト作品を連続リリースする一番の狙いは?

キリト
これまで一方の概念に偏った作品はたくさん作ってきましたけど、今回はこういう別次元の概念を同時に並べた時に何が見えるのか、聴き手がどう揺さぶられるのかというのを、この2作品を作って試してみたいという考えです。

では、まず先に発売される『FACTOR』についてなのですが、曲作りはどうでしたか?

キリト
曲作りはいつもカツカツで、今回はKaryuが先に3曲出してきたんで、それに合わせて僕が作っていった感じです。
Karyu
カツカツとは言いつつ、前作で選ばれなかった曲もありましたからね(笑)。
キリト
まだいけると思ったんでボツにして、さらにカツカツになりました。でも、今回は3曲ともパッと聴いて“カッコ良いな”と思ったんでボツにはしてません。

そんなKaryuさん作の開放感たっぷりのメロディックチューン「FACTOR」で本作は気持ち良く幕を開けますね。

Karyu
ハードな方向でいこうというのがまず最初にあったんで、他の曲はリフ重視なんですが、その中でも自分が作るものは1曲でもメロディーが立ったものが欲しいなと思って、この曲だけはメロディー重視で作りました。
キリト
今回、Karyuの曲はバランスがとれててスケール感、空間的に広がりのある曲だったので、そのぶん自分としては密室的で、刺を持った飛び道具的な曲が必要かなと思って。それで、自分はよりタイトに尖ってる曲を書きました。

「狂人」はそのもっともたる楽曲ですね。

キリト
そうですね。BPMも速いですし。ヘヴィで。

このような刺のある曲から、本作は「Collapse parade」というスケール感あるナンバーで幕を閉じるという。

Karyu
僕的にはここでひと区切りのイメージなんです。これまでの自分は、過去の自分とは違うものを作るということをものすごく意識してきたんですけど、それを1度取っ払って、自分らしさ…自分がこれまで得意としていたものを追求して作ったのが『FACTOR』なんです。そして、次の『RESULT』ではまったく新しいAngeloを見せるという感覚ではいます。

ということは、『RESULT』の曲作りもすでに?

Karyu
緊急で作ったいい感じのものが何曲かあります。『FACTOR』とは違って、新しい感覚でやれるような曲を考えて作りました。またボツになるかもしれないですけど(笑)。

この後9周年ライヴ、全国ツアー、その合間に『FACTOR』発売と活動が続いていくAngeloなのですが、最後にAngeloでしか味わえない魅力っておふたりはどんなところだと思いますか?

キリト
ヒリヒリするような緊張感、尖った鋭利さ。どこをとってもソフトなところはないという、そういう我が道をいってる感じを1度見てみたら面白いんじゃないんでしょうか。
Karyu
楽曲がコンセプチュアルなので、感情が揺さぶられる曲が多いと思うんですよ。そこも聴いたら面白いと思います。
キリト
何も考えないで聴いてもらってもいいんですけど、こっちとしては考えれば考えるほど見えてくる何か…そのカラクリはたっぷり用意してあるんで、そういうものを追求して、いろいろ考える楽しみがあるバンドだと思います。
『FACTOR』
    • 『FACTOR』
    • IKCB-9542
    • 2015.09.30
    • 2678円
Angelo プロフィール

アンジェロ:2006年8月14日、キリト、KOHTA、TAKEOの3名によって結成。同年11月シングル「REBORN」でデビュー。11年8月、Karyuとギルを加え新生Angeloとして動き出す。同年10月、新宿アルタ前にてゲリラライヴを敢行(約3000人集結)。その翌日、コンセプトアルバム『BABEL』をリリースし、全国ライヴハウスツアーを行なった。また、12年8月にAngelo初の主催イベント『THE INTERSECTION OF DOGMA』を開催すると、以降毎年、刺激的なバンドを招き、実施している。11年8⽉、結成5年⽬の節⽬としてギタリストにKaryu(元D'espairsRay)とギル(元ヴィドール)を迎え⼊れ、“新⽣Angelo”として始動。20 年、コロナウイルス感染症の影響でエンタメが窮地に⽴たされる中、感染症対策を施していち早く『Acoustic Live circuit & Streaming「NEOPHASE Ⅲ - The quantum method -』と題
してツアーを開催し、歩みを⽌めない姿勢を⾒せる。しかし、21年8⽉、LINE CUBE SHIBUYAにて無期限活動休⽌を発表した。
Angelo オフィシャルHP

OKMusic編集部

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