L→R HIDE-ZOU(Gu)、Tsunehito(Ba)、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、HIROKI(Dr)

L→R HIDE-ZOU(Gu)、Tsunehito(Ba)、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、HIROKI(Dr)

【D】手に取れるものの良さ、そうい
うところに夢を感じる

活動休止から9カ月振りに復活したDの動きが精力的だ。早くも新曲「MASTER KEY」をドロップ。カップリングを含めて充実した作品となった今作について、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、Tsunehito(Ba)に語ってもらった。
取材:帆苅智之

復活第一弾シングル「HAPPY UNBIRTHDAY」に引き続き、ニューシングル「MASTER KEY」も開放感あふれる楽曲に仕上がりましたね。今回はどんな思いで制作に臨んだのでしょうか?

ASAGI
「MASTER KEY」は「HAPPY UNBIRTHDAY」と同時期に作っていたんです。実は曲の段階から「HAPPY UNBIRTHDAY」に近い世界観が描けそうな予感はありまして、歌詞は「HAPPY UNBIRTHDAY」とは違う世界…「HAPPY UNBIRTHDAY」が夢の世界だとすると、「MASTER KEY」では現実の世界にやってきたことを描こうと思ったんですよ。この2曲は世界観がつながっていて、夢の世界の住人たちが現実にやってくるようなイメージで作ったんです。

「HAPPY UNBIRTHDAY」はハードなサウンドアプローチだったのに対して、「MASTER KEY」はビートロック的なストレートなバンドサウンドだと思いました

Ruiza
最初に聴いた時からポップさや開放感…広がるようなイメージはあったし、歌詞の世界観に合うようなフレーズであったり、細かいサウンドメイキングにも気を遣いましたね。あと、今回はPro Toolsとかプラグインを多用するのではなく、例えばディレイはプロデューサーの岡野ハジメさんからメモリーマンという古い機材を借りて使ってみたりして、そういった“ならではのもの”を大事にしたいなって思ったし、その心地良さも詰め込まれてますね。
Tsunehito
ルートで弾く部分とフレーズを動かす部分のバランスは悩んだところでもあったんですが、ビートを感じられるいいバランスにできたと思います。「HAPPY UNBIRTHDAY」ではいろんな周波数帯のベースを録って、それらのバランスを取って音を作るということを初めてやったんですけど、今回はそうではなくて、岡野さんが用意してくれた50年代くらいの真空管の装置を通しただけ。音の温かみがベースでも出せたなと思いますし、今回の曲調にはアナログ感のある音がマッチしたと感じますね。

サウンドがそうした“アナログ感”や“温かみ”のあるものになったのはどうしてだったと考えますか?

ASAGI
メンバーにも岡野さんにも、自分が思い描いている世界観と、この曲で伝えたいメッセージを細かく伝えて、そういったことも理解してもらった上でサウンドメイクしてくれたのかなと思います。歌詞は『不思議の国のアリス』の世界観が続いているんです。前作「HAPPY UNBIRTHDAY」は夢の中での“Mad tea party”のイメージだったんですけど、今回は夢を見る人がどんどん少なくなっていって、夢の世界=ワンダーランドに危機が訪れ、夢の国を救う鍵となるべくアリスの血を引く少女を、現実の世界に探しに行くという物語にしたんです。原作の『不思議の国のアリス』の世界ではアリスがウサギを追いかけるんですけど、オリジナリティーとして、その逆を描いてみたいと思ったんです。

まさに《夢の出口と現実の入り口とが繋がって動き出すストーリー》なわけですね。その中身は“個性やアイデンティティーが大事だ”ということに思えたのですが、そういう解釈でよいでしょうか?

ASAGI
もちろんです。《グランマのお手製ジンジャークッキー》というフレーズがあるんですけど、それも手作りならではの良さですよね。グランマが作ってくれたクッキーって愛情がありますよね。そういうものにしかない味わいはあるし、思い出の詰まったものの価値は計り知れない。本なんかでもそうですけど、音楽もどんどんデータ化されていく中で、手に取れるものの良さであったり、そういったところに夢を感じるんですよ。

あと、《君と僕が過ごす空間は離れているけれどすぐ側にある》辺りは、まさにバンドからファンへのメッセージと受け取っていいですか?

ASAGI
おっしゃる通りです。

そういう想いは以前に増して強くなっていますか?

ASAGI
そうですね。休止期間中にいろいろと振り返る機会もあって、改めてファンの存在や支えてくれる人の存在のありがたみが分かりましたし、だからこそバンドがここに存在していますから。「HAPPY UNBIRTHDAY」の時もそうでしたけど、今回も感謝の気持ちを表現したいところは大きかったですね。

さて、カップリング曲に目を転じると、やわらかなメロディーとバンドサンサンブルが印象的な「Magical Door」、D王道と言えるハードなサウンドアプローチの「絶望という名の魔女 ~She wept silently~」、そしてパンキッシュな「Bumpy Road」というラインナップですね。

Tsunehito
「Magical Door」は「HAPPY UNBIRTHDAY」の制作期間中に作ったんですけど、明るくやわらかい光だったり温かさをすごく意識して作りました。表題曲とのつながりもバッチリ感じられますし、世界観の深さを感じてもらえる楽曲になったと思います。シンセやストリングスの各バランスも岡野さんと相談しながら、音色のきつい部分を取って、やわらかい音質に仕上げました。
Ruiza
「絶望という名の魔女」はキメが多いと思うんですけど、そこを楽しめればいいかなと思って。プログレとまではいかないですけど、少しハードめで動きのあるものを作りたいなと思ったし、盛り上げ方は意識しましたね。
ASAGI
「Bumpy Road」はD史上、もっともトラック数が少ない楽曲だと思います。シンセも使ってないし、極めてシンプルな作りですね。歌詞も直球です。バンドをやっていると平坦な道だけじゃなくて、いつも“でこぼこ道”(=Bumpy Road)なので、それを乗りこえていく力強さを表現できたら…と思いましたし。さまざまなアプローチで、この世界(=「不思議の国のアリス」にインスパイアされたDならではの世界観)を表現したかったんですよね。

なるほど。だから、随分とバラエティー豊かな楽曲が揃ったんですね。

ASAGI
僕自身、音楽は何でも聴きますから(笑)。“いいものはいい”と思っているし、その考え方はすごく大事にしたいと思っているんですよ。どういうアプローチをしてもDはDですし、どの曲にもDらしさはあると思いますし。あと、歌詞にある“当たり前の毎日に感謝したい”という気持ちだったり、愛の歌だったり、伝えたいものの根本は変わらないので、どういう曲にもマッチするんだとも思います。

歌詞に関してはASAGIさんの生き様がそのまま出てしまうということでしょうか?

ASAGI
そうなんですよね。これは全ての曲に言えることだと思うんですけど、全て現実とリンクさせていますし、それを感じてもらえれば伝わりやすくなるのではないかなとはいつも思っています。

Dってビジュアルやアートワークからシアトリカルな印象を持たれがちだと思うのですが、実はかなり泥臭いヒューマニティーにあふれたバンドですよね。今回、改めてその点を感じたところではあります。

ASAGI
もしかしたらビジュアルから先入観を持つ人たちにとっては、あまり現実味のないバンドだと思われがちかもしれないですよね。でも、音楽に触れてもらえれば、現実とリンクしていることが分かってもらえるでしょうし、実際、“世界観に入り込めた”という声は多いです。ですから、先入観なく触れてほしいと思います。きっとDの音楽の良さがわかりますよ。
「MASTER KEY」2015年12月09日発売CJビクターエンタテインメント
    • 【限定盤A-TYPE(DVD付)】
    • VBZJ-8 1944円
    • 【限定盤B-TYPE】
    • VBZJ-9 1944円
    • ※豪華ブックレット付
    • 【限定盤C-TYPE】
    • VBCJ-30004 1296円
    • 【限定盤D-TYPE】
    • VBZJ-10 1512円
    • ※特殊ジャケット+ステッカー付
D プロフィール

ディー:2003年4月、ASAGIとRuizaを中心にバンドを結成。2005年に現メンバーとなる。世界観を重視した、ドラマ性を持った作品を次々に発表し、08年にメジャーデビュー。ASAGIの独特の世界観を重視した、ドラマ性を持った作品が特徴。そんなDの作り出す唯一無二の独特の世界観は、ティム・バートン監督にも愛されている。D オフィシャルHP

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