L→R Shinno(Gu)、K(Dr)、団長(Vo)、華凛(Ba)、Kyrie(Gu)

L→R Shinno(Gu)、K(Dr)、団長(Vo)、華凛(Ba)、Kyrie(Gu)

1年半振りの新作『Renovate』は、斬新なコンセプトを伴った“裏ベスト”。団長曰く“俺のオーラの色”という赤をモチーフにしたビジュアルとともに、10周年を経た今だからこそのエッセンスがあふれた聴き応えある一枚に仕上がっている。
取材:清水素子

アルバムを聴かせていただきましたが、あまりにも楽曲に統一感がないというか…自由奔放すぎて、正直“このバンド、大丈夫!?”と心配になってしまいました。

団長
してやったりですね! そのハラハラが、いずれ恋心に変わることもあるじゃないですか。それに実際、今回のコンセプトは音楽面にはないんですよ。
Kyrie
昨年、結成10周年のベスト盤『VOYAGE ~10TH ANNIVERSARY BEST ALBUM』を出すことになって、“ベストを出すなら裏ベストも出してみたい”という想いが生まれていたんです。そこから未発表の音源やかたちになっていないアイデア…いわば既存作のアウトテイクをもとに、アルバムを作ろうというのが最初の構想で。ただ、それだけで丸1枚構成するというのは、自分でも後ろばかり向いているようで嫌だったので、最終的にはバラードの「光」だったり、書き下ろしの新曲も入れました。要は今の自分たちが有するアイデアを、時間軸にとらわれずに“これがいいんじゃないか”と思うものを消化したアルバムということですね。

なるほど! だから、タイトルも“修復”や“改装”を意味する“Renovate”になったし、楽曲の振り幅も広くなったと。

団長
情報量が多すぎて、初見の人は戸惑うでしょうね(笑)。いわばレアトラック集というか、表があっての裏なので、ここからNoGoDに入った人には必ずベストも聴いてほしいけど、これも間違いなくNoGoDの歴史の縮図ではある。
Kyrie
原曲で言うと、一番古いのが2009年2月18日の「キラー・クラウン」なので、結果的な制作期間は7年以上ですね。この曲もリリースのたびに候補になりながら、どうも上手く消化できそうにないという理由で外してきたので、やっと完成させられて良かったです。
団長
この曲では実在のシリアルキラーについて歌っているんですけど、アルバム全体として歌詞を中二臭くしたかった部分は否めないですね。というのも、ベスト盤に新曲として収録した「walk」でストレートな表現はひとつ完結した感があったんですよ。じゃあ、今回はわりと皮肉っぽくいこうかと。よくウチらって“サーカスっぽい”と言われたりもするから、冒頭の2曲では“パレード”という言葉で歌詞を始めたり。でも、5曲目の「イピカイエ」は曲調的にどうしてもバカな歌詞にしたくて、カウボーイの“ヒャッホー!”的なスラングを持ってきたから、曲によるかな。

そうなんですよ。ハードロックのパッションあふれる「イピカイエ」まではライヴ映えする熱い曲が並んで、血の通った人間味を感じさせていたのに、宗教的リリックのドゥームな「箱舟」から急転直下して。ドラマチックなインスト曲「時を超えて」に、ゴリゴリの「キラー・クラウン」と続くあたりも、一種、情緒不安定というか…。

団長
確かに、ここでバツッ!と変わりますよね(笑)。ただ、その次の「カミサマの言うとおり」ではまた方向性が変わって、“NoGoD”というバンド名の意味…つまり、大事なのは信仰する対象ではなく、信仰心だってことを歌っているんです。バンドの意味をこんなにはっきりと歌えたのも10年やってきたからだろうし、あとはマンガの『神さまの言うとおり』が次にアニメ化された時は、何としてもこの曲をタイアップにしてもらいたい。それも見越しての、このタイトルです!(笑)

いや、“生きる”ということの本質をズバリと歌ったリリックに楽曲の前向きな疾走感がはまって、素晴らしく感動的な曲になっていますよ。続く、「光」も究極のラブバラードで、クライマックスに相応しい。

団長
俺は全然こんな歌詞を書くつもりなかったのに、Kyrieが“感動できる歌詞を書いてくれ”って言うから…。
Kyrie
いや、感動できるっていうか、テーマとして誰かに贈るもののほうがいいんじゃないかと。
団長
まぁ、誰かに向けた曲というのは今まで避けてきたし、10年を振り返っても初期に書いた「この世界に見放されても」しかないんですよね。じゃあ、久しぶりにやってもいいかと書いたから、俺はこの曲でシメたほうがいいんじゃないかと思ったんですけど、これもKyrieが…
Kyrie
ウチのアルバムは基本的にオチが必要なんで、ラストに「桃源郷へようこそ」を持ってきました。これは6年前くらいに団長が書いた曲で、ずっとかたちにはしたかったんですけど、メロディーだとかコードのアレンジが良く言えばシンプル、悪く言えば雑で…。ずっと放置してたから今回の企画には打って付けだろうと着手したら、案の定すごく大変だったけど、仕上がりには満足してます。不整合をアレンジして成立させるっていうのは、なんだかんだ楽しかったなと。
団長
その雑さが初期のNoGoDの良さでもあって、それを久々に出せたのも今回ならではでしょうね。歌詞も初期に出した「激烈叫喚乱痴気教」の続編になっていて、一部同じ歌詞を使ったりしてるんですよ。要するに、10年経ってもあの時の気持ちのままで歌ってますよ…ってことで、そういう仕掛けも裏ベスト的な作品には相応しいと思うんです。

ライヴ空間を桃源郷に例えている歌でもありますから、4月からのツアーでも素晴らしい景色を期待したいです。

団長
そうですね。この曲ではオーディエンスのみなさんに、ぜひともハートではなく桃を飛ばしてほしい! あと、コーラスの多いアルバムなんで、お客さんに歌っていただかないと厳しい曲も多々あるから、必ず発声と準備運動をしてきてください。たぶん相当身体も動かすことにもなるはずなんで!
Kyrie
この1年半で僕らが発表した曲って、ベスト盤の新曲と会場限定盤で出した2曲の計3曲しかないから、新作を出したことでライヴで観える景色も変わってくるはずなんですよ。そうやって新しいものを作っていくことに挑戦できるのが楽しみですし、来てくださった方々に“いい”と感じてもらえるような空間を作っていきたいですね。

OKMusic Playlist

「インパクト大の愛すべきエンターテイナー」

By 団長(Vo) / NoGoD

"このプレイリストは非常に癖の強いアーティストのみを紹介しています。 この様な方に視聴をお勧めしております。 ・日常生活に刺激が足りないと思っている方。 ・今の日本、世界の音楽シーンが自分には合わないなと思っている方。 ・普通のロックでは退屈してしまう方。 ・とにかく派手なものが好きな方。 ここでご紹介するアーティストにもしも興味を持たれましたら、 是非動画サイト等で映像も見てみてください。 視覚と聴覚の両方であなたの心をかき乱す事をお約束致します。"

1. The Beautiful PeopleMarilyn Manson

全身から狂気を発信する男、Marilyn Manson。 彼の存在その物がエンターテイメントである。 世界に中指を立て続ける至高のダークヒーロー。 MVも何とも言えないグロテスクかつナンセンス。 素晴らしい作品です。

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2.SicSlipknot

覆面をかぶった音の暴力集団。 特にファーストALの殺気は半端じゃないです。 ステージングも狂ったサーカスの様。 高く飛びながら回るパーカッション、髑髏の乗ったターンテーブル。 鼻を擦りつづける変な奴(笑) 兎に角、音源もいいけど是非映像も。

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3.Suite-PeeSystem Of A Down

「激ヤバ」 彼等の1stAL日本盤の帯にはこの3文字だけが書かれていた。 どんだけだよと、再生ボタンを押した私はこう思った。 激ヤバだこりゃ、と。 ジャンルはよくわからない。聞いた事がない音楽。 この人たちは見た目こそそこまでではないが(そんなこともないけど) とにかく音楽の壁をぶち壊すその独創的なアンサンブルがインパクト大。

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4.DigMudvayne

ヴォーカルが青髪青髭銀塗り ギターが赤塗り顔面トゲだらけ ベースが鬼 ドラムが緑辮髪顔面毬柄 もうこれだけで充分常軌を逸している。 だがしかしこのバンド、ただ見た目がヤバイだけのバンドではない。 プレイヤーとしてもとても卓越しているのである。 ただ一つ残念なのは、割りとすぐ化粧をやめてしまった事だけである。

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5.This Is Heavy Metal Lordi

フィンランドが産んだ怪物HRバンド。 おそらく今回紹介したアーティストの中で一番見た目がヤバい。 どうヤバいかはググってもらえれば分かる。 曲はいたって王道のHR/HM。くさい。くさすぎる程王道。

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6.Just Like This Limp Bizkit

ニュー・メタル界のスーパースター。 このバンド、実はエンターテインメント性も非常に高い。 バンドの中心人物、Vo.フレッド・ダーストは常に「派手なショー、エンターテイメントを」と語っている。 彼等のMVは大抵アメ車が跳ね、姉ちゃんが脱ぎ、中指を立てる。 そして異端児Gt.ウェス・ボーランドは年々見た目が奇抜になっていく。 最近は一人だけ全身黒塗で鎧を着るようになった。 そのバンドでのメンバーとのアンバランスさは、 スピッツにおける三輪テツヤ氏の100倍はあると思われる。

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7.all is full of loveBjörk

アイスランドが生んだ奇跡の芸術家。 ジャンルと固定概念にとらわれず、つねに前衛的な音楽やアートワークを生み出し続けている。 ステージ衣装も相当奇抜で、毎回「よくこれで歌えるなぁ・・・」と自分の事を棚に上げてしまうくらい派手である。 この方、行動や発言もかなりアグレッシヴ。暴行事件や問題発言など、なかなか話題に事欠かない。 ちなみにこの曲のMVはグラミー賞を受賞してます。

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8.One More TimeDaft Punk

何も人間じゃないのはロックやメタルバンドだけではない。 この二人、実はサイボーグなのだ。 コンピュータのバグで機材が爆発し、それによってサイボーグになってしまった悲劇の二人。 なのにも関わらず、今だにコンピュータや大量の機材を華麗に駆使して、 最先端のエレクトロミュージックとエンターテイメントを発信し続けているのだから頭が下がります。

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『Renovate』2016年03月30日発売NEXUS/KING RECORDS
    • KICS-3358 3240円
    • ※初回仕様ボックス
NoGoD プロフィール

ノーゴッド:2005年に団長を中心に結成。ライヴ活動を続けながら、コンスタントに作品も発表し、着実に人気と実力を付けていった。10年 6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たし、同年 8月にはメジャー1stアルバム『欠片』を発表。HR/HMを基調としたサウンドとメッセージ性の強い歌詞、高いエンターテインメント性が話題となり、メジャーシーンでも注目を集めている。NoGoD オフィシャルHP

OKMusic編集部

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