L→R 木村雅人(Dr)、広瀬臣吾(Ba)、井上竜馬(Vo)、服部栞汰(Gu)

L→R 木村雅人(Dr)、広瀬臣吾(Ba)、井上竜馬(Vo)、服部栞汰(Gu)

【SHE'S】自分がここまで来た意味を
見出したかった

メジャーデビューシングル「Morning Glow」について、全作品のソングライティングに携わり、“自分の中のほんまもんだけを渡したい”と語る井上竜馬(Vo&Key)に話を訊いた。
取材:桂泉晴名

デビュー曲は「Morning Glow」ですが、井上さんはかつて朝焼けが苦手だったそうで。

昔は朝焼けを見ると“また同じような1日が来た”という感覚になっていたんです。でも、変わらないものはないんじゃないか?と思うようになって、“あの時、あの人と出会って、こういう選択をしたから、今がある”と感じるようになったんです。それで2ndミニアルバム『WHERE IS SHE?』(2015年発売)の1曲目の「Change」という曲を作ったんですけど、その時はまだ確信が持てなくて。やっと今、あの時に歌っていた想いは間違いじゃなかったことが分かったんです。変わらないものはないし、それぞれの朝焼けはかたちが異なっているって。「Morning Glow」には“その時その時を信じて歩みを止めなければ、その人の朝焼けは必ずやって来る”という想いを込めました。

ポジティブなサウンドだけど、紆余曲折を経て生まれた曲だから《僕は僕へ辿り着けた》という歌詞になるのですね。

軌跡を辿りたかったというか、デビューで“さぁ、明るくやってやろうぜ!”というより、ちゃんとここまで来た意味を見出したかったし、自分の正解を見ておきたかったんです。

制作の時は、どんな朝焼けをイメージしましたか?

歌詞に《ポツリと落ちた水滴》とか《新緑の匂い》とあるんですけど、これはずっと家で制作していて、パッとベランダに行った時の感じだったんです。でも、朝焼けのイメージは、旅先の印象が強いですね。アンコールワットで見た朝焼けとか。その力強さを曲に出したい想いはありました。

ストリングスが入っていて華やかに始まりますね。

イントロからマストなイメージでした。ストリングスを入れると曲が生き生きするというか、自分がやりたいスケール感が一番出せるんです。僕はクラシックピアノで育ってきたので、自分の耳に馴染みがいいからメロディーとも自然と合うのかな、と思っています。

2曲目の「日曜日の観覧車」は、観覧車の動きと記憶の風化をリンクさせているという。

観覧車を眺めているのが好きなんですけど、実は最近まで乗ったことがなかったんです。去年初めてメンバーと神戸で乗りました(笑)。乗ってなくても、なんとなく惹かれたんですよね。人間って掴みにくいものほど、知りたくなりませんか? それと一緒で、“なんで観覧車にこんなに惹かれるんだろう?”と考えていったら、記憶の仕組みがどこか観覧車と似ているんじゃないかと感じて。新しい記憶が入れば古い記憶がどんどん降りて、忘れていってしまう。“これか!”と思って、曲にしました。

3曲目の「Time To Dive」は、《自ら選んだ 計画書破って》というフレーズが印象に残りました。

僕は衝動的な感覚を信じて選んできたので。バンドはもちろん、大学を選ぶのも辞めたのも、全部“なんとなく”というか。ピアノも“なんとなく好き”で始めたし。だから、衝動的な部分で選んでいてもいいんじゃないかなと。でも、衝動で選んで、すぐに全部諦めていたら、何も残らない。逆に本気で向かい合えば、どんなことでもできるんじゃないかと思います。

デビューシングルのレコーディングはいかがでしたか。

自分たちの武器であるメロディーとダイナミックなスケール感の強度をもっと高め、なおかつ振り幅があるものを、ひとつのパッケージとして作りたいと思っていました。実際に完成して、それが実現できた一枚になったと思います。
「Morning Glow」
    • 「Morning Glow」
    • TYCT-39038
    • 2016.06.08
    • 1836円
SHE'S プロフィール

シーズ:メンバー全員大阪出身のピアノロックバンド。2012年開催の『閃光ライオット』ファイナリストを契機にその高い音楽性が一気に注目を集め、16年6月にシングル「Morning Glow」でメジャーデビュー。全楽曲のソングライティングを担う井上竜馬が奏でるピアノをセンターに据え、エモーショナルなロックサウンドから心を鷲掴みにする珠玉のバラードまで、壮大かつ圧倒的な存在感を放つ。21年、結成10周年であり、メジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーに突入! SHE'S オフィシャルHP

OKMusic編集部

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