【fhána】不穏なムードと熱い歌やギ
ターとのマッチングを楽しんでほしい
2ndアルバム『What a Wonderful World Line』のツアーを終えたばかりのfhánaが、早くも新曲をリリース。アニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』ED主題歌として話題の表題曲に加え、アーティスト盤のカップリングには前作で好評だった「Relief」の日本語バージョンを収録するなど、濃い一枚に仕上がった。
取材:榑林史章
「calling」はバラードっぽいけどそういう感じでもなく、とてもスケールの大きなミディアムナンバーですね。
佐藤
これはアニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』のED主題歌で、アニメ制作サイドから“旅の途中の休息”みたいなバラードにしてほしいと。だからって、ただ普通にバラードを作っても面白くないので、バラードの要素を満たしつつ音楽的に面白いこともやりたいと思って。壮大さの中にトリップホップ的なアプローチを取り入れて、かつメロは泣けるという、そんな塩梅で作りました。デモを作った時は2ndアルバムの制作の真っ只中だったので、これを2ndアルバムの1曲目に入れたいな〜って思ったほどの自信作です!
kevin
僕としては、バラードという感覚はまったくなくて。というのも、実はテンポがゆっくりなだけで、サウンドはすごく激しいんです。全体的に耳触りはいいけれど、“実はこんなことしちゃってる!”みたいな箇所がたくさんあるので。細かいところまで聴いてもらえたら面白いと思います。
yuxuki
実はストイックな曲なので、静と動の対比が面白いと思っています。あと、ものすごい低音の帯域まで録音しているので、ぜひスピーカーで大きい音で聴くとか、低音までよく聴こえるイヤホンやヘッドフォンで聴いてください。
ヴォーカルはどうでしたか?
towana
シングルは今までアップテンポが多くて、こういう曲を出すのは初めてなので、どういう受け取られ方をするのかドキドキしています。ツアー中のレコーディングだったのですが、ライヴのモードのまま録れたし。でも、こういうゆっくりなメロディーは歌の粗が目立ってしまうので、その点では緊張感を持ってレコーディングしました。今後ライヴでやったら、また違ったスケール感を表現できると思うので、早くライヴで歌いたいです。
ストリングスは、ちょっとザ・ビートルズっぽい?
佐藤
うねってるところは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(ザ・ビートルズの8作目のオリジナルアルバム)みたいな? 実はストリングスのアレンジは、アニメ『おそ松さん』への楽曲提供などで人気のTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの石川智久さんにお願いしたんですよ。ただ泣けるだけじゃなく、不思議な雰囲気も出したいと思って。不穏なムードと熱い歌やギターとのマッチングを楽しんでほしいですね。
“calling”というタイトルにはどんな意味が?
佐藤
“呼ぶ”という意味と思いきや、辞書では3番目くらいに載ってる“使命”や“天職”みたいな意味で。作品とももちろんリンクしているのですが、fhánaの今の状況ともリンクした歌詞になっています。
fhánaもまだ旅の途中ですからね。
佐藤
これからも頑張って、音楽を作っていこう!って。
アーティスト盤のカップリング曲「Relief」は、2ndアルバムで英語曲だったものの日本語バージョンですね。
yuxuki
ファンの方から“日本語でも聴いてみたい”“歌詞の意味を知りたい”と意見があって。じゃあ、作ってみようかと。
佐藤
プロデューサー的には、最初から作ることも視野に入れてたんだけどね。
日本語で歌ってみてどうでした?
towana
最初は少し不安でした。英語のリズムで歌っている曲なので、日本語でもリズミカルに歌えるかなって。でも、歌詞が英語詞の意味を踏襲しながら日本語でも違和感のないものになっていたので、結果的にとても歌いやすかったです。あと、原曲があった上での違いも楽しんでほしいと思っていて、あえて声の感じも少し変えています。私の発声なのか、英語だと若干ハスキーになるのですが、日本語は少し軽い感覚になるんです。そこはぜひ聴き比べてほしいですね。
ライヴでは、その日の気分で変えられますしね。
towana
どっちにしろ、私のさじ加減ですけど(笑)。
アニメ盤のカップリング曲「アネモネの花」は、ファンタジーアニメの中で使われてもよさそうな雰囲気ですね。
yuxuki
アニメ盤のカップリングに入ることが決まっていたので、そういうイメージも多少ありました。作り始めた時のイメージは、RPGの序盤の村で流れてそうな雰囲気というか…。ヨーロッパの街なんかで、路上で楽しそうにやってるみたいなわちゃわちゃした感じを出したくて。それで楽器のセレクトも、鍵盤ハーモニカとかグロッケンとかトイピアノとか、全部マイクを通してレコーディングしています。
佐藤
鍵盤ハーモニカやトイピアノの音はインパクトが強いので、いつもと印象が違って聴こえると思いますね。
kevin
普段グロッケンはシンセの音で打ち込んでいますが、今回は生で演奏しています。結構動きがすごいフレーズを繰り返すので、レコーディングはなかなか大変でした。でも、いいアナログ感が出ていると思いますね。
towana
ベースとドラムのレコーディングにも立ち会ったんですけど、その時点からすごく楽しくて。プロフェッショナルな演奏の上に歌を乗せられるというだけで、すごくテンションが上がりました!
yuxuki
ドラムをtoeの柏倉隆史さんに叩いてもらえたのは嬉しかったですね。学生の時から聴いていた方だったので。
いろいろチャレンジがあったシングルですね。
yuxuki
チャレンジというか、すでに3rdアルバムのことを考え始めているので、前にやったことと同じことをやっても仕方がないし。新しいところに行かないとなって。
kevin
fhánaの延長上にありながら、まだ見せていなかったものを、どんどん見つけていきたいですね!
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「calling」2016年08月03日発売Lantis
- 【アーティスト盤】
- LACM-14509 1296円
ファナ:2011年、佐藤純一(Key&Cho)を中心に結成されたtowana(Vo)、kevin mitsunaga(Sampler、etc.)による3人組バンド。13年8月にシングル「ケセラセラ」でメジャーデビューを果たし、その後は新人アーティストでは異例とも言える連続アニメタイアップなど、シーンを問わず各界から注目を集める。17年にリリースしたTVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOPテーマ「青空のラプソディ」、21年発表のTVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OPテーマ「愛のシュプリーム!」は各界から絶賛され、さまざまなアワードも受賞した。さらに、アニメだけでなくロックフェスにも多数出演。23年に現体制となり、レーベルも日本コロムビアへ移籍した。同年5月に移籍第一弾シングル「Runaway World」をリリースする。fhána オフィシャルHP
fhána 日本コロムビア アーティストページ