【椎名慶治】椎名慶治の始まり。そし
て、今。

自身のライヴツアーや制作活動に加え、高橋まこと(ex.BOØWY)率いるバンドJET SET BOYSでも活動し、積極的に動いたソロデビュー5周年の椎名慶治が、アニバーサリーイヤーを締め括るベスト盤『RABBIT “BEST” MAN』 をリリース。その椎名を直撃する!
取材:えびさわなち

ソロデビュー5周年のアニバーサリーイヤーですが、この5年を振り返るとどのような想いがありますか?

覚えてないんです。“あれがあった、これがあった”ということを案外、覚えていないものなんですよね。ただ、ベストアルバムと同時発売でMV集も出すので、それを観返していたらフラッシュバックしましたね。“こんなことあったな…”っていうのを。MVの撮影に関してはいろいろと思い出もあったりして、ビジュアルの部分から入ったことで、その時々のことを思い出していけたのはあります。ただ、そこに喜びはなくて、辛かったこととか悔しかったことが鮮明に蘇るんですよね。

え、そうなんですか!?

ライヴでも“すごく良かった!”っていうことより、“もっとこうできたのに!”という心残りが蘇ってきて。それを乗り越えたということが思い出になっている感じですね。辛かったことのほうが糧になるんだっていうのを、SURFACEのデビューから18年を経た今は感じられるようになったし、その都度、反省することは大事なんだな、ということも感じてますね。

その5年の始まりであるソロデビューですが、動き出しがわりとSURFACEの解散から早い時期でしたよね。

最初こそ“ソロ活動をやっていいものなのか?”という迷いはあったんだけどね。でも、マネージャーから“動かなきゃ消えていくだけだよ”って言われたんですよ。解散すると決まった以上、それを武器にしようと。そうじゃないと次のステップへスタートするのも大変になるから。“とにかく曲を作って!”と言われて臨んだソロ活動で。ずっと曲を作ってきたわけですけど、一緒に曲を作ってきた山口寛雄との時間、ソロ活動の初期の数年は本当に色濃かったですね。

“ソロ活動=山口寛雄さん”という印象でしたよね。

でも、サウンドプロデューサーに頼り切りではまずいと、ある時思ったことで、他のクリエイターとも一緒にやってみるようになったんですよね。それが『I & key EN II』だったんだけど。その後、『MY LIFE IS MY LIFE』では半分がヤマ(山口寛雄)で、もう半分は自分という感じでバランス良くできるようになった。ヤマがスペシャリストだからこそ、俺を俺らしく作ってくれた。だから、自分の作業に関しても、“こうすればこんなふうにできるんだ”という知識や技術をヤマに教えてもらったと感じていますね。

その活動の中で高橋まことさん率いるJET SET BOYSのヴォーカルとしての活動もあって。バンド活動はいかがですか?

初めてなんだけど、とんでもなく大変。メンバー3人の主張を聞いて、僕がまとめたものをまた投げてかたちにしていくというやり方なんですね。だから、制作で中心になることが多くて、音楽的スキルはめちゃくちゃ上がったと思います。バンドを経てまたソロに戻った時に、ソロでもバンドでのテンションや培ったものを活かすことができる…どちらも自分に返っていくんだなと実感していますね。バンド活動とソロとのスイッチの切り替えのように作ったのがベストアルバムに収録した新曲「ゴゾウ☆ロック」ですから。

そんなベストアルバム『RABBIT "BEST" MAN』ですが実際に完成した今、どのような想いがありますか?

ベストを出そうというのは5周年の計画の時点であったんですが、実際、僕は「I Love Youのうた」以外にシングルを作っていなかったんですね。だから、シングルを集めるわけにはいかなくて、何をもってベストかと迷いがあったんです。なので、一度お客さんから好きな曲のアンケートを取ったんですよ。その順位を見ながら感じたのは、MVのある曲がみんなは好きなんだなということだったんです。シングルっぽい概念なんだと思ったので、MVのある曲を全部収録して。さらに、僕自身が外したくなかったのがSURFACEのデビューから手掛けてくれて、SURFACE最後のシングルも一緒に作ってくれた武部聡志さんとの「ヤワじゃないだろう」は収録して。それとヤマと初めてふたりで作った「愛のファイア!」もランキング11位だったけど、始まりの曲だから収録しましたね。だから、みんなも納得してくれるんじゃないかなって思います。

そして、先ほども出た新曲「ゴゾウ☆ロック」なのですが。

やっぱり今まで応援してくれた人たちへの感謝の気持ちを!ということで、どんな曲を作ろうかと考えた時に、聴いた人の誰もが“これぞ椎名だ”と言ってくれるもの、ポップでキャッチーで元気なものをと思ったんです。それでアカペラで僕が作ったものを友森昭一さんとオダクラユウと一緒に楽曲にしていって、歌詞も5年から先の自分の意思表明のようなものにしていきました。久々に遊び心もあるんですけど、それもまた僕らしいなと感じています。

MV集『RABBIT "FILMS" MAN』にもこの「ゴゾウ☆ロック」のMVが収録されていますが、制作中の椎名さんが息づいていましたね。

“作り込むより、レコーディングの風景はどうですか?”と僕が言い出してできました。僕自身はすごく好きですね。MV集でこれまでの僕を振り返ってもらえると楽しい。

そんなベストアルバム、MV集をリリースして6年目に歩を進めるわけですが、今後の目標を教えてください。

ベストアルバム発売直後ですが、恒例の誕生日ライヴはここだけのセットリストにしたいと思っていますね。その後すぐにツアーもありますし。ここからも自分らしく音楽していきたい。JET SET BOYSもあるんで、どちらにも意欲を出していきたいです。
『RABBIT “FILMS” MAN』
    • 『RABBIT “FILMS” MAN』
    • HWDL-0019
    • 2016.11.02
    • 4504円
    • 『RABBIT “BEST” MAN』
    • HWCL-0010
    • 2016.11.02
    • 3240円
椎名慶治 プロフィール

シイナヨシハル:1998年、SURFACEのヴォーカリストとしてシングル「それじゃあバイバイ」でメジャーデビュー。10年6月にSURFACEが解散するが、同年11月にミニアルバム『I』でソロデビュー。ソロ活動と平行して結成したAstronauts(May’n&椎名慶治)では『仮面ライダー フォーゼ』のエンディングテーマを歌い、さらにタッキー&翼への作詞提供など、活動の幅は多岐にわたる。現在、高橋まこと(ex:BOØWY)率いるJET SET BOYSのヴォーカルとしても活動中。2018年5月27日にアーティスト活動20周年を迎える。椎名慶治 オフィシャルHP

JET SET BOYS プロフィール

ジェットセットボーイズ:元BOØWYのドラム高橋まことを中心に、tatsu(LÄ-PPISCH)、友森昭一(ex.AUTO-MOD、REBECCA)、椎名慶治(ex.SURFACE)という面々によって結成。今やアナログからデジタルに移行しているさまざまな音楽シーンの中、 その時代、時代で活躍してきたメンバーたち。10年、20年、30年と時を経て、あの頃を懐かしむように互いに引き寄せられた運命。あの頃の匂い、あの頃の衝動、あの頃の少年のように、どんなに年を重ねても色褪せない、変わらない。そんな思いを込めたバンドが、このJET SET BOYSである。2016年6月、1stアルバム『JET SET BOYS』を初リリース!JET SET BOYS オフィシャルHP

surface プロフィール

椎名慶冶(vo/作詞/作曲/編曲)、永谷喬夫(g/作曲/編曲)によるポップ・ロック・ユニット。カッチリ作りこまれたハードロック・サウンドとドメスティックな湿り気をもつメロディ/ヴォイスが特徴。また、「なあなあ」(99年)や「ヌイテル?」(00年)、「ゴーイングmy上へ」(00年)などタイトルからして明白だが、独自の言語センスを存分に活かした詞世界も大きな魅力ではないか。フックの強烈さにかけては尋常でない。オフィシャルサイト

OKMusic編集部

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