取材:金澤隆志

愛と夢の葛藤を描いたリアルストーリー

さまざまなアーティストの作品にフューチャリングで参加するなど、4年間の音楽活動を経てのデビューアルバムですが、どんなものにしようと思いましたか?

よく“デビューアルバムがベストアルバム”だと言われるアーティストがいますけど、自分はそういうふうにはなりたくなかったから4年間の集大成というより、初期の頃に書いた曲から最近書いた新しい曲まで、時期的に偏らないものにするよう心がけました。

携帯サイトで3万ダウンロードを記録した「Last Song」は、アルバムではバージョンが違っていますね。

生音のヴァイオリンを入れて、イントロの印象をガラッと変えました。すでにこの曲を知っている人でも、新鮮な気持ちで聴けるものにしたかったです。他にも、これまでクラブでやってきた曲は、そのまま入れても面白味がないので、バックのトラックを少しずつ変えています。

作風で言えば「春夏秋冬」のようなメロウなトラックから、「Fxxk The Money」のような、かなりドギツイことを歌ったハードなヒップホップトラックまで、ひとりのアーティストがやってるとは思えないほど幅広いサウンドですよね。

いろんな表情の詩音を見せたかったんです。自分が好んで書くのはR&Bのメロウな曲なんだけど、クラブだとそれだけだと勢いがないので、みんなが踊れるものをということで、パーティーチューンやクルージング系の曲を足しましたね。

最初にイントロがあって、最後にアウトロという構成は、コンセプトアルバム的だなと。一貫したテーマはあったのでしょうか?

アルバム1枚を通して聴くと、ひとつのストーリーが成立するようになっているんです。テーマは、イントロのタイトル通り“夢を取るか、愛を取るか”。このコンセプトに沿って、夢と愛の狭間に立たされた女性の葛藤を表現しています。

なるほど。これは、実在の人物がモデルになって描かれているのですか?

私の実体験に基づいたストーリーです。この4年間に私が体験した『LUV or DREAM』が、そのまま反映されています。私は自分が思ったことや体験したこと、私のリアルなことしか書けないので。だから、ストーリーに合わせて、その役を演じているわけではないんです。

“Candy Girl”というタイトルは、アルバムのポップでカラフルなイメージにピッタリですね。

あとエロティックな響きがあるところも気に入ってます(笑)。キャンディーっていろんな味があるじゃないですか。甘いキャンディーもあれば、酸っぱいものもある。そういったいろんなフレーバーが楽しめるアルバムになっているかと。

RICHEE(GHETTO INC.)、KOZ(S.T.M)、Big Ron、DJ☆GO、DAZZLE 4 LIFEたちといった面々とのコラボレート作品も多いことが、アルバムの多彩な印象の要因になっているようにも感じました。

そうですね。私ひとりだと、どうしても自分だけの世界に陥りがちだけど、相手がいるとイメージを膨らませやすくて、自分以外の視点から曲を広げていけるところが楽しいんです。ひとりで曲を書いているよりもずっと楽しいし。

最後に、このアルバムをひと言で表すとしたら?

“My Life”。私の人生そのものですね。
詩音 プロフィール

R&Bシンガーソングライター。親の影響で幼い頃からブラック・ミュージックに慣れ親しむ。1994年、アメリカンスクール在学時にスカウトされ、デトロイトでキース・ジョンによるヴォーカルレッスンを受ける。2004年からインディーズでの音楽活動を開始し、横浜、横須賀などのクラブを中心に活動。2008年5月、アルバム『Candy Girl』でCDデビュー。その圧倒的な歌声と同世代の共感を呼ぶ歌詞が評価を受け、インディーズながらオリコン・アルバムチャート9位を獲得。約10万枚を売り上げる。2009年4月、2ndシングル「RAIN OF TEARZ/GIRLICIOUS feat.DJ☆GO」がオリコン・デイリーチャート6位を記録。同年10月発売のアルバム『Trurh』もオリコントップ10入りを記録するも、2009年10月、喉にポリープができたことを告白。治療に専念するため、活動休止を発表。約3年間の活動停止期間を経て、メジャー移籍第1弾配信シングル「distance」より、『LOVE ME』3部作として、2012年7月より3ヶ月連続配信シングルをリリース。2013年6月には、初のベスト盤『ALL TIME BEST -BAYSIDE DIVA STORY-』を発表した。オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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