取材:土内 昇

本気でぶつかり合える音楽を作りたい

デビューシングルには、フォキーでさわやかな楽曲が収録されているのですが、どんな音楽がバックボーンなのですか?

19(ジューク)を聴いてましたね。ストリートでできそうな曲を聴いてました。ストリートでやるようになったきっかけも、中学校の時に自分が毎日やっていることが正しいのか、間違っているのか分からなくなって、自分のことを誰も知らないところに行きたいと思って、母親に“家を出たいんですけど”って相談したんですね。そしたら、“自分を探しておいで!”って(笑)。で、家を出たんですけど、中学生だからアルバイトができないわけですよ。その時に思い付いたのが、ストリートライヴだったんです。で、中古のギターを買って、ストリートに出たんですけど、僕はギターを弾いたことも、音楽をやったこともなかった(笑)。でも、周りに“俺が教えたるわ”とか“俺の家に泊まり”って言ってくれる熱い人がいたんですよ。曲もギターが弾けないから、自分の曲を作れば間違っても何も言われないって思って、オリジナルを作ったんです。Cというコードだけで(笑)。そんなむちゃくちゃな歌だったけど、真剣に歌えば、足を止めて真剣に聴いてくれる人がいるんですね。初めにそこと出会ったから、本気対本気でぶつかり合える音楽を作りたいと思ってるんです。今までいろんな音楽に何かしら影響を受けて、自分というものが作られてきたと思うんで、自分も誰かに影響を与えられる音楽を作りたいなって。だから、憧れのミュージシャンがいたわけじゃないので、バックボーンを聞かれてもあまり出てこないんですよ。

「雨傘物語」は、どんな曲を作ろうとしたのですか?

大好きで、溺愛していた彼女がいたんですけど、ある日突然、好きな人ができたって言われたんです。その現実がなかなか受け入れれなくて、何もする気が起こらなかったんですけど、その時の気持ちを歌詞にしたんですよ。曲は歌えるようになってから付けようって。すごく辛かったから、結局曲になったのは2年後ぐらいでしたね。僕としては、ほんとに強い思い入れがあるから、デビュー曲は『雨傘物語』にしたかったんですけど、それは誰にも言ってなかったんですよ。でも、最終的に決まったのが『雨傘物語』だったので、ものすごくうれしかったですね。

両A面になってる、もう一方の「オレンジの街」は?

僕の中で、一番新しい曲ですね。この夏に公開予定の『愛流通センター』という映画の主題歌の話をいただいたので、台本を読んで書き下ろしました。でも、僕が歌うんだから、僕の曲じゃないと楽しくないと思ったんで、勝手に映画の続きを想像して歌にしたんです。

頭の3行と終わりの3行は泣けますね。会えないと分かってるけど、期待しているというのが男心だなって。

そうなんですよ! 誰にでも、過去を振り返った時に会いたいと思う人っていると思うんですよ。僕の場合は会えないんだろうけど、会えるなら会いたいんで、最後は少し期待して終わるっていう…めっちゃいい曲ですよね(笑)

カップリングの「あいつの彼女」も含め、内容の濃いデビューアイテムですね。

昔から歌っている曲と一番新しい曲とで両A面になってるし、大好きな3曲が入っている…どの曲も“今、一番会いたい人”をテーマに歌っているので、そういう人を思い浮かべながら聴いてくれたらうれしいですね。自信満々なデビューシングルです!
森 翼 プロフィール

1985年5月3日生まれ、大阪府出身。中学3年生の頃、家出したことをきっかけに音楽と出会う。中古楽器屋でギターを購入し、曲作りを始める。高校の時には、2人組で西宮や三宮、梅田などでストリート・ライヴを開始。夏休みには東京行きなどを含む約1ヶ月のヒッチハイク・ツアーを行い、その後もストリート・ライヴで着実にファンを増やしながら、初のワンマン・ライヴを梅田バナナホールで開催し大成功を収める。

08年5月に1stシングル「雨傘物語/オレンジの街」でメジャー・デビュー。個性的な歌声と天性のキャラクターが各方面で話題とり、7月には映画『愛流通センター』で役者デビューを果たし活動の幅を拡げる。そして、同年11月に発売された2ndシングル「すべり台」がテレビ東京系アニメ『家庭教師ヒットマンREBORN!』のエンディング・テーマに抜擢され、スマッシュ・ヒットを記録。
09年3月には1stアルバム『コワイモノシラズ』をリリース。さらに役者としてテレビ朝日系ドラマ『京都地検の女』に出演、意外に重要な役どころからお茶の間にも森翼という名前を知らしめた。森 翼 Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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