【藍坊主】曲を聴く相手を意識した
強いメッセージのある歌

前作「空を作りたくなかった」から約10 ヵ月。
2008 年第一弾となる「言葉の森」はこれまで
の藍坊主の世界観を持たせながらも、よりメッ
セージ性を強くさせた楽曲となった。
取材:高木智史

サウンドは前作の「空を作りたくなかった」からガラッと変わってすごくストレートなロックサウンドですね。これは意識的なものですか?

田中
藍坊主はメロディーから、アレンジや歌詞を派生していくんですよ。だいたいメロディーが最初で、そこからアレンジを広げていって、歌詞を乗っけてという。だから、大前提はメロディーが良いかどうかということなんですね。で、ひたすらそのメロディーと向き合って「言葉の森」は出来上っていったから意識的に曲を作っていったわけではないですね。僕個人で言うと、デモを何回も聴いたんですけど、そうするとメロディーの中に自分も入っていけたんですよ。作った藤森の頭の中にも入っていったというか。そうなった時になんとなく、ギターのフレーズが引っ張られて出てきたんですよね。
渡辺
この曲は最初からある程度のキーワードをもらってたんですけど、それに向かっていくと、ここ1年くらい積み上げてた自分のドラムの方法論を使うと違うなと感じたんです。すごく昔の…それこそ自分がドラムを叩き出した頃の時の感覚でやらないといけないなと思いましたね。初期衝動的なものを頭で描いてそこに向かっていったというか。そういう内面の変化は面白かったですね。

作詞作曲は藤森さんですが、制作は順調でしたか?

藤森
作ってる時は普通だったんですけど、思い起こすとやっぱり大変でしたね。中でも自分の中で最近変わってきたものを曲に込める作業が大変でしたね。

その変わってきたものとは?

藤森
内容もそうですけど、伝えたいことの伝え方をちゃんと考えないといけないなと。これだけ長くやってきてやっとなんですけどね。曲を作る時に、聴く相手に向けて作らないといけない。そうすることで、誰かが幸せになれれば自分も幸せになれると思うんです。

確かに相手をすごく意識している歌詞だと思いました。それでいて今の社会的なことにも触れていますよね。

藤森
それもひとつの捉え方ですね。「言葉の森」で結局何が言いたいかは自分が存在している意味とか、“なんで自分がここにいるのか?”ということですね。あと僕の知り合いで気持ちが弱くなっている人がいるんですけど、そういう人を勇気付けたいというのもありますね。

hozzyさんはこの歌詞をどう歌おうと思いましたか?

hozzy
歌詞を読んだ時に感動したんです。僕も藤森とは違った捉え方なんですけど、同じようなことは思っていて。共感できる歌詞だから自然と気持ちが入りましたね。

みなさんがそれぞれに想いを共有して今作はできたんですね。で、何度も聴く度によりメッセージが伝わってくるというか。

田中
確かにそうかもしれないですね。一回聴くだけではこの曲が意図しているものが何か分からない気がするし。この曲は直接、これはこうだって言ってる曲ではないので。いろいろと言いたいことの周りを表現しているというか。言いたいことを迂回して伝えているというか。外堀を埋めてって最終的に自然とメッセージを気付かせるという。聴く人にとってその外堀の埋め方は違うと思うから、何回も聴いていくと到達するところは同じになると思いますよ。何回も聴いてもらいたいですね。

カップリングの「コンセント」はレコーディングのバンド編成が違いますよね。ライヴでは登場している編成…確か2007年7月のC.C.Lemonホールの時は“レモンボウズ”という名前でやられてた編成だと思うんですけど。これは構想がもともとあったのですか?

hozzy
ライヴでやってたことが染み付いてたんでしょうね。最初はバンドっぽい感じでイメージしてたんですけど、だんだん流れの中でドラムだと強すぎるとかエレキだと主張しすぎるとかあったんです。アレンジしてて、休憩の時に気が付いたらパートチェンジしてやってみてたんですよね。そしたら以外としっくりきて、そこから詰めていったら“すげえ、いいじゃん”ってね。

そうするとやっぱり普段の曲作りの時とは雰囲気は変わりましたか?

渡辺
普段よりも出来上がるのが早かった気がしますね。結構バンドを意識して作ってた時は煮詰まってたんですけど、楽器を持ち替えてからはサクサクっとね。テンションというか、勢いでできちゃいました。ひょっとしたら、この曲が今回の曲作りの中でも一番盛り上がってたかもしれないですね(笑)。でも、形になるっていうことで、単純に緊張はしましたけどね(笑)。
田中
カホンに関してはそのライヴ、ツアーで初めてやったんですけど、やってくうちにやっぱり上手くなっていくものなんですね(笑)。だからこんだけやったんだから、いつか形にしたいなっていう気持ちはどこかあったと思うし、実際やってみたらすごくハマったし。

そのバンド編成がhozzyさんの歌詞の世界観にも本当にハマっているなと感じました。

hozzy
そうですね。気怠い感じで(笑)。歌詞の最後の“モゥモゥモゥ”は迷っていく感じを表していて、その後変な旋律が出てくるんですけど、そこでこの曲の雰囲気はすごく表現しています。この曲はもともと作り方をちょっと変えてみようと思ってて、ピアノから作ったんですよ。普段ピアノには慣れてないから、逆になんか、そういうふうに作ったら面白いかなと思って。必然的だけど実験的な曲ですね。
藍坊主 プロフィール

99年結成。メンバーは佐々木健太(vo)、田中ユウイチ(g)、藤森真一(b)の3人。胸が切なくなるような甘酸っぱいメロディと青春の情景を思い起こさせる歌詞によるロック・ソングを繰り広げ、地元・小田原や八王子、下北沢を中心にライヴ活動を行う。03年2月に発表した1stアルバム『藍坊主』が高い評価を得て、その後、2ヶ月連続でリリースしたマキシ・シングル「雫」「空」がインディーズ・チャート上位にランクイン。04年5月に、アルバム『ヒロシゲブルー』でメジャー進出を果たす。05年3月より、田中の高校時代のクラスメイトである渡辺がドラマーとして正式加入し現在に至る。藍坊主Official Website
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