今夜は鍋!という時に聴きたい曲
ミュージックソムリエ協会では、「こんな時に聴きたい音楽!」ということで、日常のヒトコマで、ふっと聴きたい音楽を選曲しました。選曲はすべて、ミュージックソムリエ(http://musicsommelier.jp)によるもの。
朝夕の気温が10度を下回り、グッと寒さが増してきました。寒いのは嫌だけれど、熱々の鍋をつつきながら楽しい時間を過ごせるのは、冬の醍醐味かもしれません。ということで、鍋料理を一層楽しくするのによく合う曲を選びました。ひとり鍋から大勢での鍋パーティまで、いろいろなシチュエーションに合わせた6曲をどうぞ。
1.「Temperature」/Sean Paul
ショーン・ポールは「ダンスホール・レゲエ界の貴公子」とも呼ばれ、日本でも人気のアーティスト。ヒップホップやR&Bとの融合を積極的に試み、独自のスタイルを打ち出す事でその名を知らしめました。
この曲は2005年にリリースされたアルバム『The Trinity』 からのシングルカットで、世界各国でビッグヒットとなりました。リディム(=レゲエのリズムトラック)は、ジャマイカのヒットメーカーであるジャー・スノーコーンによる「Applause」が使われており、このリディム自体も非常に人気があります。
寒い時には俺が暖めてあげるよ、というような歌詞を歌っているのですが、温度を感じさせるMVがまた、寒さで冷えた身体が、”鍋パ”で汗ばむほどに温まるまでの過程を表現するのにピッタリなので、ぜひご覧になっていただきたいです。
(選曲・文 高原千紘)
2.「Some Like It Hot」/The Power S
tation
こちらは、1985年に発売されたザ・パワー・ステーションのファースト・シングルにして大ヒット曲の「Some Like It Hot」です。歌詞の「Some like it hot some sweat when the heat is on」は、プロモーション・ビデオからも少しセクシーな内容と思われます。しかし、汗をかきながら皆で、アツアツのお鍋を囲んでいるシチュエーションにもハマる歌詞かなぁと思い、選んでみました。
ザ・パワー・ステーションは、英国を代表するブルーアイドソウルのヴォーカリストのロバート・パーマーと、デュラン・デュランのジョン・テイラーとアンディ・テイラー、そしてシックのトニー・トンプソンによって結成されたバンドです。残念ながらロバート・パーマーもトニー・トンプソンも2003年に他界してしまいましたが、今聴いてもカッコいい。お鍋を前にして、超テンション上がる1曲です。鍋はやっぱり「お熱いのがお好き」ですよね!
(選曲・文/阪口マサコ)
3.「どろぼうかささぎ」序曲(ロッシー
ニ)/ウィーンフィル
レストランのメニューに、「○○のロッシーニ風」という料理を目にするとはありませんか?
ロッシーニが生きていて、日本をこの時節訪れたならば、きっと「鍋」をヒントに、美食メニューを作ったことでしょう。「鍋のロッシーニ風」のアイデア、是非、お待ちしています(?)
(選曲・文/堀川将史)
4.「Here For You」/FIREHOUSE
アコースティックギターの美しいアルペジオに、「僕はいつでもここにいるよ」と歌うC.J.スネアの温かみ溢れる声が乗ると、即座に心の緊張がほぐれます。
音の向こうに、食卓を囲む笑顔が見えるような楽曲ですよね。
(選曲・文/伊藤威明)
5.「You Really Got Me」/RICO
そう、まさにこの時、何をかけるべきか・・・といえば、レゲエ。これは鉄板です!ズンチャカズンチャカと、揺れるリズムに身を委ねて、菜箸を軽快に操るのは乙なもの。今回ご紹介するのは、RICOによるキンクスの超有名曲のカヴァー。まるでドリフのBGMのような、ひょうきんでユーモア溢れるアレンジが、レゲエの楽しさを引き立てているでしょう。小気味のいいリズムが高揚感をアップさせて、鍋への期待を膨らませてくれます。
この曲さえあれば、初対面でも和気あいあいとした雰囲気になること間違いなし。大丈夫、今日の2時間、この曲で乗り切れます!
(選曲・文/GAOHEWGII)
6.「狩りから稲作へ feat.足軽先生・東
インド貿易会社マン(いとうせいこう・
グローバー義和from Jackson Vibe)」
/レキシ
そんな能書きはさておき、あらゆる人たちに愛され、曲ごとに参加するアーティストも多種多様な「レキシ」の曲は、鍋に例えることが出来るのではないでしょうか。SUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューした池田貴史が、日本の歴史に対する造詣の深さを、音楽で表現するために発足したレキシ。この曲では、足軽先生こと、いとうせいこう氏と、東インド貿易会社マンこと、グローバー義和氏と共に、縄文時代の狩猟生活から、弥生時代の農耕生活への移り変わりと心の葛藤を描いています。〆の雑炊で、ぜひこの曲をかけてください。稲作定住してくれたご先祖たちへの感謝の気持ちを感じながら、雑炊を味わえば、最高の形で鍋パーティーはお開きできるでしょう。
(選曲・文/石井由紀子)
著者:NPO法人ミュージックソムリエ協会