ピッグバッグの『ドクター・ヘックル・アンド・ミスター・ジャイヴ』は、80年代に登場したエスノロックの記念碑的アルバム
78年にセックス・ピストルズが解散した時、パンクロックは終わったと感じたリスナーは少なくなかったと思う。しかし、振り返ってみると、70年代の末ごろから80年代初頭の何年間かは、短期間に次々と新しい音楽が生まれては消える時代でもあった。特に、セレクターやスペシャルズに代表されるスカのリバイバル、トーキング・ヘッズやイーノらのファンクとパンクの融合など、白人音楽と黒人音楽をシャッフルしたリズムを重視したサウンドが多く生まれ、それらはエスノロックとかエスノファンクなどと呼ばれるようになった。今回紹介するピッグバッグも、アフリカのフェラ・クティやマイルス・デイビスに影響されながら、パンクの精神を忘れなかったグループだ。ポストパンクの初期に登場した過激なポップグループの後裔として生まれただけに、その音楽は鋭く熱い。