グレアム・パーカー&ザ・ルーモアの『ロック・モンスター/グレアム・パーカー・ライブ!』は秀作の多いパブロック作品の中でも飛び抜けた傑作
イギリス独特の文化のひとつにパブ(要するに居酒屋)が挙げられるが、パブはお酒が安く呑めて音楽も楽しめる庶民のための社交場である。そんなパブから60年代の後半から70年代中頃にかけて、多くの素晴らしいグループやシンガーが登場し、大きなホールやコンサート会場には決して登場しない彼らは、いつしかパブロッカーと呼ばれるようになった。エルヴィス・コステロ、ニック・ロウ、ドクター・フィールグッド、ダムドなど、みんなパブロックなわけだが、同じパブロックでもブルース、ファンク、カントリー、パンクなど、さまざまなジャンルがひしめき合っているのも特徴のひとつである。グレアム・パーカーもイギリス中のパブで名を売り、パンクロッカーにも大きな影響を与えたイギリスを代表するシンガーのひとりである。今回はバックにザ・ルーモアを従えた絶頂期のライヴ盤『ロック・モンスター/グレアム・パーカー・ライブ!(原題:The Parkerilla)』を紹介する。