キャプテン・ビーフハートの『トラウト・マスク・レプリカ』はパンク以前に存在した驚愕の超パンク作品
商業音楽としてのポピュラー音楽は「売れる」ことではじめて、その存在価値があるという性質を持っている。一方、芸術音楽(現代音楽や一部のジャズ)は商業性とは相反する存在で、両者は言わば水と油に近い関係だと言える。今回紹介するキャプテン・ビーフハートは、ロックサイドから登場してきたにもかかわらず商業性とは無縁の異端のアーティスト。1969年にリリースされた『トラウト・マスク・レプリカ』は、ビーフハートが創造したロック史に燦然と輝く奇跡の傑作であり、その評価は千年経とうが変わることはない。