南正人

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    南正人ミナミマサト

    個人的には『ファースト・アルバム』のジャケットが衝撃的だった。うつむき加減に"マリファナ"を吸う姿は、そのヒッピー的風貌と相まって、南正人の特異なアーティスト性を物語っている。
    南は60年代に世界中を放浪して廻ったというから、日本でも早いうちからビートニク思想を実践した1人と言えるだろう。デビュー・アルバム『南回帰線』(71年)、前述の2nd『ファースト・アルバム』(73年)は、日本ロックの金字塔だ。細野晴臣率いるキャラメル・ママを始め、多彩なミュージシャンがバック・アップしたこれら作品では、スタジオ・セッションを基にフォーク/ブルース/ジャズを内包した味わい深いサウンドを展開。一方ではジャム感覚に満ちたアシッド・フォーク的な魅力もたたえている。この辺のスタンスが、現在もフォーク・ファンのみならず、テクノ・ファンにまで支持されている要因だ。
    その後もヒッピー思想をベースに、ポップ/サンバ/レゲエのエレメントを取り込んだ作品を発表。近年のアルバムとしては、『恋心』(95年)、『馬尾・馬尾』(99年)、『人生の楽屋裏』(00年)——そのクリエイティヴィティも最高潮に達している。

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