“元祖ミクスチャーバンド”のLÄ-PPISCH初期の力作『WONDER BOOK』
ロックとは元来自由な音楽であり、“こうあらねばならぬ”という定義はない。それは分かっていても、演奏者も、我々リスナーも、知らず知らずに型にはめてしまう傾向があることも否めない。80年代、所謂バンドブームの最中、シーンに登場したLÄ-PPISCHは、そんな偏見を一笑に付すかのように音楽性を発揮した、言わば“元祖ミクスチャーバンド”である。ドイツ語で“バカげた”“子供じみた”という意味を持つバンド名の如く、言動やパフォーマンスには悪ふざけも少なくなかったが、音楽に取り組む姿勢は真摯で、彼らが提示したロックは世界に比類なきスタイルであった。